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第弐夜 其の壱 ページ16

Aは夢を見ていた。里親に引き取られた時に起きた出来事の夢を

女はまだ幼いAを何度も叩きながらAに向かって怒鳴り散らした

「何で!!何で一緒に居たあの子があんな大怪我したのにあんたは無傷なのよ!!あんたが来てから家族皆怪我ばかりよ!!この疫病神!!化け物!!全部全部あんたのせいよ!!」

Aは頭を守りながら蹲り何度も何度も謝罪を述べたが、女の打つ手が止まる事はなかった

「あんたが居るから!!あんたなんか…産まれてこなきゃ良かったのに!!!」

その言葉でAは目が覚めた。息は乱れ、額には冷や汗が滲んでいる

『…此処…は……』

Aは体を起こし、辺りを見回した。どうやら何処かの家の一室の布団に寝かされていたようだ。部屋には数多の猫又が居た

(猫、凄いわね…猫又かしら…?)

するとAの肩にあの毛まり鬼達が乗っかった

『貴方達…あの時の毛まり鬼…?無事だったのね…』

Aは少し安心した表情を見せた

善逸「あ!起きた?A」

『貴方…』

襖を開けて入ってきたのは善逸だった。成人の姿ではなく子供の姿だが…

『…此処…貴方の家なの?』

善逸「そうだよ〜。あの後君気絶しちゃったからさ。大分気が弱ってたから一気に限界が来ちゃったのかもね。少し顔色はよくなったけど、まだまだ血色悪いね…」

善逸は布団の横に屈みAの頬を撫でた。相変わらずAは怯えている

善逸「朝御飯出来てるけど食べれる?」

Aは御飯という単語に反応した

善逸「A?どうしたの?まだ気分悪いの?」

『な…何でもない』

頬に添えられた手を退けながらそう言うAに段々と異変が現れた

「どうせ死なないなら食べなくていいよな」

急に聞こえたその言葉に善逸は反応し、猫又達も威嚇し始めた

「化け物に食べさせる必要ないわよ」

「あんたのせいであの子は怪我したのよ!?それで食べさせて貰えると思ってんの!?」

Aに得体の知れない黒い物が纏わりついた。その黒い物はAを包み込もうとしていた

善逸「その言葉は聴かなくて良いよ」

『ッ!!』

善逸が手を振ると、一気に黒い物が散り散りになった

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作者名:帽子神 | 作成日時:2020年6月4日 4時

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