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?「A、起きて」
懐かしい声だ……誰?
?「負けないで。鬼になっては駄目。頑張って…」
鬼?負ける…?わからない……
?「お願い…A……お兄ちゃんとお姉ちゃんを守って…」
お兄ちゃん…お姉ちゃん……?
嗚呼…そうだ…この声は……
『かぁ…さ…ん……?』
目を開けると、血のついた天井が目に入った
今のは夢…?けど、夢にしてはハッキリしてたような……そうだ!私は確か化け物に襲われて…
私は立ち上がって流しに溜まっていた水を見た。水面にはあの化け物と同じ瞳と長すぎる犬歯を持った私の姿があった
『そ…か……私、鬼に…』
母さんは私の理性が残るように呼び掛けてくれていたのだろう。でなければ、私は今ごろ…家族を喰っていたかもしれない
母さん…姉さん…竹雄…花子…茂…六太…守れなかった。死なせてしまった
ふと外を見ると姉さんの姿が無かった。あの傷で動ける筈がないのに…
私は六太の側に寄る。すると足跡があった。一人分だけど…姉さんの足跡じゃない。これは……兄さん?
兄さんが帰ってきていた?それにあの化け物…鬼…は、姉さんにも血を分けてるって話してた。なら姉さんも生きてる
姉さんが生きてることに気が付いた兄さんが麓まで姉さんを運んでるのか…?
その可能性を考えた私は、兄さんの足跡と音を便りに全速力で走り出した
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作者名:帽子神 | 作成日時:2019年11月25日 6時