【暗殺教室】彼はなかなか振り向いてくれない１６【赤羽業】 (ページ41)

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殺せんせーがE組に来て２週間ほど経った頃、たった5秒間で超絶的スピードを見せつけられた時。

僕等は...恐ろしい難題を突きつけられたと初めて気付いた。
「この先生を殺さなくちゃならないのか.....」...と。

暫く殺せんせーは黙り込んだ後、静かに「先生の過去の話は以上です」と声を出した。

「なお不明な点やでも疑わしい点がある人は指摘して下さい」

殺せんせーの話を疑う生徒はいなかった。
僕等も...茅野も。
全ての理由が繋がったからだ。殺せんせーが万能だったのも、どんな暗殺も知っていたかのように避けられた事も。
雪村先生の死の責任を...殺せんせーに求める生徒もいなかった。2人とも...苦しむ人を放っておかない先生なのを知っているから。

言葉を発さない僕等を見て、殺せんせーは静かな声で語る。

「先生の教師としての師は誰であろう雪村先生です。目の前の人をちゃんと見て、対等な人間として尊敬し、一部分の弱さだけで人を判断しない。彼女から...そういう教師の基礎を学びました。」

「先生はそれに自らの知識を足して...、皆さんと向き合う準備をしました。自分の能力の限りを尽くし、君達に最高の成長をプレゼントする。その為にはどんなやり方が必要か？」

「考えてたどり着いたのが、先生自身の残された命を使った暗殺教室です」

...そうだ、そしてそれは目論見通り。
殺し、かわし、そして教える。
暗殺を通した殺せんせーの教育で...僕等の心の闇は晴れていった。

.....だけど。

「前にも言いましたが、先生と君達を結びつけたのは、暗殺者と標的という絆です」

「暗殺者と標的でなければ、君たちの担任になる事は出来なかった。暗殺者と標的でなければ、君達が本気で、真剣に、先生にぶつかってくることもなかった」

「だからこの授業は、殺す事でのみ修了できます」

「無関係の殺し屋が先生を殺す、出頭して殺処分される、自殺する、.....期限を迎えて爆発する」

「...もしもそれらの結末で先生の命が終わったなら...我々の「絆」は卒業の前に途切れてしまう」

後ろを振り返りながら殺せんせーは、いつもと違う真剣で、だけれども言い聞かせるような声で言う。

「もし仮に殺されるなら.....他の誰でもない、君達に殺して欲しいものです」