【暗殺教室】彼はなかなか振り向いてくれない１６【赤羽業】 (ページ4)

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◯振り向いてよ７５１ページ4

〝ホラホラ！！皆やればできるできる！！〟

明るい声が旧校舎に響き渡るが、誰一人としてその声を耳に入れようとしなかった。

〝雪村先生ってさぁ...、ちょいちょいインナーダサいよね〟

ギャグで着ているつもりは無いのだろうが、その分余計タチが悪い。ダサすぎると指摘すれば倍以上のリアクションになって返ってきた。

｢.....知ってるよ茅野。２年の３月...２週間ぽっちの付き合いだったけど、熱心で凄くいい先生だった｣

ここに居る全員、知っている。雪村先生という存在が、たった短い間だったけれど。２週間で十分なほど伝わった。

｢そんな雪村先生を、殺せんせーはいきなり殺すかな？そういう酷い事...俺等の前で1度もやった事ないじゃん｣

(あぁ、痛い)

畳み掛けるような、祈るようなＥ組の説得も頭に入らない。

(痛いなぁ)

声が遠い。いったい皆は何処にいるんだろう。

.....私はいつの間にここまで来たんだろう。

｢触手に生命力を吸い取られ、死.....｣

ゴゥ、と何かが燃えるような音が風を切る。
辺りが一瞬で赤く染まり、冬だというのに熱い。

｢.....うるさいね。部外者達は黙ってて｣

＊＊＊

目の前にいる彼女は茅野カエデではない。

それはもう、痛いほどわかって居たはずなのに、いざ変わり果てた姿を見ると声も出ないほど驚いた。

それ程茅野ちゃんは本気なんだと伝わったし、何故もっと彼女と話さなかったのだと酷く今後悔している。
潰されそうである事に、私は気がついていたのに。
私は、彼女と一体どこが違う？何が違うのだろう？

覚悟が違った？想いが違った？私と彼女は大切な人を失ったのは同じでも、その痛みの大きさや感じ方は違ったのか。

炎と同じようにゆらゆらと揺れる茅野ちゃんの瞳は、あの時のお母さんと同じだ。

｢そうと決めたら一直線だから｣

そうきっぱり言い切った茅野ちゃんの目は、何処か悲しさを含んでいるように見えた。