【暗殺教室】彼はなかなか振り向いてくれない１６【赤羽業】 (ページ29)

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●振り向いてよ７７６ページ29

私の変化に気づきながらもただまっすぐこちらを向いて

今日も彼女は平和に笑う。

「あとは、いつもみたいにお話しましょ」

そんな彼女を見てきて2つ彼女から学んだことがあった。
私がしてきていたものは間違っていた、という事とあともう1つは「見る」というのがどういう事なのか。

「そうしましょう。テスト問題は？」

「き、今日も少々ご意見を……」

誰にも正体(すがた)を見せなかった最強の殺し屋は、「見られる」ことが嬉しい事だと初めて知った＿＿＿＿。

＊＊＊

そうして季節は巡り、春を迎えた。

Ｅ組の生徒が入れ替わる季節でもある春……それは三日月が生まれた２週間前。

実験が始まり１年ほど経った今、アクリル板で隔たれたこの空間は2人にとって何でも話せる場所になった。

誰も会話をモニターしていない時間帯を見つけ、あぐりは「死神」の生い立ちも聞いた。
戸籍もない「死神」は…自分の本名も生まれた日も知らない事、優しい言葉は暗殺のための武器でありこの笑顔は人を欺くために身につけた事。

あぐりはそれらを悲しそうな顔で聞いていた。

反対にあぐりの話も死神は聞いた。
許婚(フィアンセ)にとって自分は召使いであって女じゃない事。

そして…
彼の才能を尊敬しているがどうしても好きになれない事。

死神はそれらを聞いて、少し苦笑した。
苦手意識を抱いていてもその人からの命令を律儀に守り、自分の見張りを続けているあたりが彼女らしいと思ったからだった。

そう思えるほどに2人は打ち解けていっていたのだった。