【暗殺教室】彼はなかなか振り向いてくれない１６【赤羽業】 (ページ20)

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◯振り向いてよ７６７ページ20

磁気瓶の中にあるのは「反物質」
たった0.1gから核爆弾並みのエネルギーを放出する。
一見すると夢のエネルギー源だが、科学者達はこの「反物質」が石油や原子力の代わりになるとは思っていない。
最大の理由は生産効率の悪さ。爆発1回分の反物質を作るには.....、その爆発をはるかに超えるエネルギーが必要だからだ。

「うぎっ」

ガシャァ、と瓶を研究員の頭に叩きつけると、柳沢は不機嫌そうな声色で口を開く。

「準備が遅い。俺の世紀の研究を妨げるな」

有名バイオ企業の御曹司にして.....、国際研究機関の主任研究員。天才科学者柳沢誇太郎は.....神をも恐れぬアプローチで反物質の生成を企んでいた。

拘束台に乗せられた死神を笑いながら見下ろす。

「いいかモルモット。今からお前の体は全体的に改造される。実験に協力的なら...一生檻の中だが好きな本くらい読ませてやる。死刑から救ってやった感謝をしろよ」

「伝説の暗殺者「死神」の新しい生活は.....朝から晩まで人体実験を受ける日々だ」

首に管を刺され、液体が身体に流れ込む。なんとも言えない不快感に思わず喉の奥から呻き声が競り上がってきた。

「手始めに、新しい細胞を受け入れるための土台を作る」

あちこち具合が悪くなるから、自分の体調を正しく報告しろと柳沢は言った。
死神はその声を聞きながら、割と成功率が高い殺り方を思いつく。

グイ、と自分の指先で柳沢の袖口を引っ張る。油断しきっている彼はいとも簡単に体制を崩し、死神の方へ倒れ込む。喉元に噛み付いて勢いよくちぎれば大量出血で死ぬだろうと考えた。

(スキだらけだが、今殺っても脱出を困難にするだけだ)

人当たりのいい笑みを浮かべたまま、動き出そうとする自分の指先に力を込めて耐える。

(今は耐えよう。意味ある殺しをする瞬間は必ず来る)

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あぐりが机に向かって暫くたった時、アクリル板の向こうにある扉が開く音が聞こえた。
音のした方を向けば拘束台に乗せられた死神が来ていて、慌てて立ち上がる。

「あ、お、お疲れ様です」

アクリル板の目の前、できるだけ拘束台の近くに端末を持って行くと、にこりと笑った。

「少し休んだら言ってください。バイタルチェックしますから」