【暗殺教室】彼はなかなか振り向いてくれない１６【赤羽業】 (ページ19)

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●振り向いてよ７６６ページ19

部屋を一瞥しながら死神は思考を巡らせる。

政治的配慮から私の存在は公にせず……この施設で人体実験の材料として処理するようだ。

そこまで考えて死神は口の端を吊り上げる。

死刑台より千倍ラッキーだ。必ず脱出のチャンスはやってくる！

＊＊＊

場所は変わり監視室。
モニターには死神の拘束されている部屋も映し出されている。

「今回の実験は未知の変化だらけだと予想されるので……近い距離で目視する観察役が欲しいんです。元々恐ろしい殺し屋ですし実験が進めば…強化アクリルの壁など平気で破れるようになるかも」

タブレットを持った科学者の一人が柳沢に話していた。その声は不安げでこれから起こることの予測もついていないのが丸わかりだった。

「最高機密ですからおいそれと外部の人間も雇いにくい…頭脳明晰で口の固い人間でなくては」

そこまで聞いた柳沢は少しの間思案している顔だったが、すぐに誰かを思いついたようだ。

「OK、俺が一人手配する。従順でそこそこ優秀で死んでも誰も文句を言わないモルモットなら他にもいる」

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「わぁ意外。すっごい優しそうな人なんですね！！」

暗い部屋に似合わない弾んだ声に、死神はそちらを向いた。
そして、ここに来たばかりの時と同じように優しい笑顔で話しかける。

「……でしょう？何もしないから解放してくれませんか？」

「ダメです。もし殺されたら私死んじゃうもの」

体ごとそちらを向き、女を観察する。
＿＿夜間の監視役としてやってきた女。

死神は考えた。
この女は殺りようによっては使える、と。

……だが一つ気になることがある。
目線を下へとずらし、シャツのデザインを見つめる。そこには大きく骨付き肉がプリントされ、その上には「八分目」と太字で書かれている。

そして、死神は決して声には出さないが心の中で叫んだ。
そのTシャツ何！！？

それが、雪村あぐりと死神の出会いだった。