15話 ページ15
目が合った瞬間から、僕は恋をしていたんだと思う。
入学式の日、桜を眠たげに見つめていた彼女と、目が合った。
目が合った彼女は少しだけ困った様に笑う。
「クラス分け、見た？」
まさか話しかけてくるとは思わなかったから、驚きながらまだだと答えた。
「私も。人が多くて中々見れなくて」
彼女の視線を追ってみれば、クラス分けが貼り出されている場所には新入生でごった返していた。
小さい方の彼女は見るのも一苦労だろうと勝手に想像する。
「プリント式にして一気に配ればいいのにな」
「そうそれ！ 私も凄く今それ思ってた！」
独り言のように呟いた言葉に、彼女が身を乗り出して反応した。
「でも見に行かないとクラスわかんないよね...」
「そうだな」
「よし、じゃあ行こう」
気合を入れるかのようにそう口にした彼女は、数歩歩いた所で突然立ち止まって僕の方に振り返った。
「どうしたの？ 君は行かないの？」
当たり前のことのように言ってきた彼女に、僕はまた驚いて固まってしまった。
そんな僕を不思議そうに見つめた彼女は、何も言わずに僕を待っている。
「......あぁ、行くよ」
「うん」
彼女と一緒にボードを見に行けば、小柄な彼女はすぐに流されそうになっていた。
見失うのが何となく嫌で、さり気なく庇っていたら、それに気づいたようで照れくさそうにありがとう、と言ってくる。
僕はなんでもない風を装うのでいっぱいいっぱいだった。
いつも通りに振る舞う事が、何故か難しくなっていた。
なんとか前列まで来た僕達は、A組から順番に見ていった。
勿論僕はA組だった。大した感動もなく、当たり前か、と思ったところで、となりであー！ 、と驚く様な声が聞こえる。
「A組だ！ 私！ ねぇ、君は何組だった？」
明るい表情で聞いてくる彼女に、僕もだと答える。
「ほんとに？！ やった！」
嬉しい、と笑う彼女が誰よりも綺麗に見えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 298人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「暗殺教室」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にゃは(プロフ) - 尊すぎて涙出てきたどうしよう (3月17日 1時) (
レス) @page22 id: d295fcb7a5 (このIDを非表示/違反報告)
sirousagi(プロフ) - 最近は成績優秀、運動神経抜群、容姿端麗とか、完璧超人設定が多くて…。これはそんな設定も書かれてないし、自分の想像で読めるから本当いあ！！こんな作品探してたんです！！ドンピシャで本当いい作品だった！！ (2022年3月28日 3時) (レス) @page22 id: 53c96774ab (このIDを非表示/違反報告)
キングミカン(プロフ) - 最高な小説でした。浅野くんの夢小説の中でも群を抜いて大好きな作品です。素晴らしい作品をありがとうございます！ごちそうさまでした！ (2021年3月2日 21時) (レス) id: 96f79cb953 (このIDを非表示/違反報告)
天泣tenkyu！(プロフ) - とてもキュンキュンしました〜素敵な作品をありがとうございます！ (2019年8月12日 22時) (レス) id: 496fdd910e (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - とても面白かったです！浅野くんかっこよすぎです… (2019年3月5日 20時) (レス) id: a8dea294c9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
