13話 ページ13
家に帰って電子辞書で意味を引いてみたら、さらに訳の分からない事になった。
試しにLINEの翻訳トークで打ってみても、
私の息を取り除きます、とか、私はあなたのために倒れています。とかしか出てこなかった。これのどこが熱烈なのか。
私何か浅野くんにしたっけ？ でもbreathは息だし、awayは向こうだ。fallingは落下。
「え、まじで何...？」
ぴらぴらとルーズリーフを振ってみても答えは出ないままだった。
ーー
ーーー
「あ、本直すの忘れてた」
分からないまま2日程たった時、相変わらず図書室に入り浸る私はカウンターにぽつんと置かれた本を見て思い出した。
テスト明けの日に浅野くんが返しに来た本。
手に取って何となく開いてみても、私には難しすぎて理解できない。
本を開いた拍子に貸出しカードが床に落ちた。
「あれ、返却期限今日じゃん」
貸出しカードに書かれていた返却期限は今日の日付だった。どうして浅野くんは2日も早く返しに来たんだろう。まぁ、彼は早め早めに読み終えそうだしなぁと勝手に納得する。
さっさと本を直して、カウンターに他の仕事が残っていないか確認してからまた浅野くんの方へ向かった。
「本読むの早いんだね、浅野くん」
「は？ 何だ急に」
「この前返しに来た本、2日も返却期限より早かったよ」
「あぁ、あれか」
「うん。てかあの日返したらすぐ帰っちゃったじゃん、急いでたの？」
「生徒会会議があった」
「なら尚更今日でよかったのに。それか昨日とか」
昨日と今日は浅野くんは自習スペースで勉強していたし、別にこの前急いで返す必要は無かったよ、という意味を込めて言えば、何か言いたそうな顔をしてから、読み終わったから返しただけだと言った。
「まぁ、ちゃんと返してくれるぶんにはありがたいからいいんだけどね」
「返してくれないやつとか居るのか？」
「期限過ぎて私の所に直接返しに来たりとかする子もたまにいるよ」
「弛んでいるな」
「まぁたまにだし、謝ってくれるし」
「そうか」
短く返事をしてから、浅野くんは何か言いたげにこちらを見た。
「意味は分かったのか？」
「え、あの英語の？ 全然！ 翻訳トーク使ったらめっちゃ訳分かんない文章になったし、単語調べてもさっぱり」
「......そうか」
「ねぇヒントちょうだい？」
「嫌だ」
「ケチ」
「ケチでいい。お前なら多分すぐ分かる」
「すぐわかんないからだよ......英語そんなに得意じゃないんだよなぁ...」
この日も結局分からないままだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 298人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「暗殺教室」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にゃは(プロフ) - 尊すぎて涙出てきたどうしよう (3月17日 1時) (
レス) @page22 id: d295fcb7a5 (このIDを非表示/違反報告)
sirousagi(プロフ) - 最近は成績優秀、運動神経抜群、容姿端麗とか、完璧超人設定が多くて…。これはそんな設定も書かれてないし、自分の想像で読めるから本当いあ！！こんな作品探してたんです！！ドンピシャで本当いい作品だった！！ (2022年3月28日 3時) (レス) @page22 id: 53c96774ab (このIDを非表示/違反報告)
キングミカン(プロフ) - 最高な小説でした。浅野くんの夢小説の中でも群を抜いて大好きな作品です。素晴らしい作品をありがとうございます！ごちそうさまでした！ (2021年3月2日 21時) (レス) id: 96f79cb953 (このIDを非表示/違反報告)
天泣tenkyu！(プロフ) - とてもキュンキュンしました〜素敵な作品をありがとうございます！ (2019年8月12日 22時) (レス) id: 496fdd910e (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - とても面白かったです！浅野くんかっこよすぎです… (2019年3月5日 20時) (レス) id: a8dea294c9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
