本入部。 ページ29
よろしくお願いします、と入部届けを武田先生に差し出せば、くりくりの目を嬉しそうに見開いて、直ぐに笑顔に変わった。
｢はい、確かに。これからよろしくお願いします、十河さん｣
｢よろしくお願いします、武田先生｣
ぺこりとお辞儀すれば、礼儀正しい先生は同じように返して、じゃあ明日から朝練に参加、今日は放課後からお願いしますと告げて職員室に戻っていった。
小さく掌が震えていたことに気づいて苦笑する。入部届け出すだけでどれだけ緊張してるんだ、私。
次の授業なにかなと考えつつ階段を上る私の足取りは、らしくもなく浮き足立っていた。
｢十河さん、今日から本入部？！だよね？！｣
お昼休み、弾ける笑顔で聞いてきた日向君に頷き返せば、うおおお！！と大袈裟なくらい喜んでくれた。
｢じゃあ、合宿も一緒に行けるじゃん！！｣
｢うん。今日の放課後先生にプリント貰って、それで明後日までには参加届け出すつもりだよ｣
｢そっかぁ！！今日からよろしくな！！｣
｢うん、よろしくね｣
じゃ、また放課後ー！と手を振って恐らく食堂に向かった日向君を見届けてから、なにやらニヤニヤしている悠ちゃんをじとっと睨みつける。
｢……何笑ってるの｣
｢んーん？ただAちゃん、人見知りもなおってきてるし、変わったなぁって！｣
うふふふ、恋のパワーは偉大だねぇとニヤつく悠ちゃんに、溜息をつきながら首を振った。
｢別に、そんなんじゃ、ない……し、話せるようになったって言っても、日向君とか、その、話すのが上手い人とかだけだから……｣
ごにょごにょと言う私にうんうんー、と笑顔で頷く悠ちゃんをとりあえずデコピンしておいた。
｢いったぁ、くはないけど……酷くないー？｣
｢ならその顔やめてよ｣
｢えへへへ、嬉しくてさぁ｣
悠ちゃんは私の母親かなにかなのだろうかと頭の中で突っ込みつつ、サンドイッチを口に入れて、放課後が楽しみだと、入学して初めて思った。
｢＿＿＿＿今日から本入部の十河さん｣
すっと清水先輩に名指しされて、恐る恐る1歩前に出れば、タナカ先輩とニシノヤ先輩、あと日向君が一気に私の前に飛び出てきた。思わず1歩下がる。
｢よろしくー！！！｣
｢う、うん｣
｢女子！！1年！！よろしくなぁ！！｣
｢あ、はい……｣
｢これで花が増えたな！ノヤっさん！！｣
｢は、はな？｣
困惑を極める私の目の前に、スっと逞しい腕が割ってはいる。
｢こらこら、十河さん困ってるでしょうが。やめなさいよ｣
降りてきた落ち着く声に、一気に落ち着かなくなった。
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ちんすこう - 更新しないんですか？凄く楽しみ待ってます。数ある大地さんのお話の中で一番好きです！ (2020年5月12日 10時) (
レス) id: 9e27674b7b (このIDを非表示/違反報告)
奏(プロフ) - 草さん» 返信遅れてしまって申し訳ありません。そうなんですね･･･！知識不足でした、ありがとうございます。大地さん大好きなので我慢出来ずに書いちゃいました。読みやすいと言っていただけて安心しました。妬いちゃう大地さん難しかったので萌えて頂けてなによりです。 (2019年11月5日 21時) (レス) id: 3e7d8a8bee (このIDを非表示/違反報告)
草(プロフ) - 早生まれは1/1から4/1で、遅生まれが4/2から12/31なので三月生まれの夢主は遅生まれではなく早生まれですね。大地さん夢珍しい上に文が読みやすいです。妬くところ大地さん普通の高校生で萌えました。 (2019年11月2日 23時) (レス) id: 59c85b2532 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奏 | 作成日時：2019年9月8日 20時
