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ほかほか肉まん。 ページ12

白い湯気が立つ肉まんを清水先輩から受け取って、小さく頂きますと呟いてから1口齧った。この時間まで学校にいる事自体稀だから、空きっ腹にはとんだご馳走だった。

今はまだ肉まんの熱さも耐えられるけど、あと2週間もすれば肉まんからアイスに変わるんだろうなぁ、とワイワイ喋っているバレー部を見て思う。

「美味しい?」

不意にかけられた低くて優しい声に肩が跳ねた。
振り返ればサワムラ先輩が笑顔で私の隣に立つ。緊張からか心臓がドキドキして、視線をウロウロとさせながらなんとか言葉を捻り出した。

「美味しいです、あの、ありがとうございます、ごちそうさまです」

一息に言ってしまった後、こんなに一気に言ってどうする、とヒヤリとする。緊張しながらサワムラ先輩に漸く視線を合わせると、何故か笑っていた。

「あはは、いいよ。こちらこそありがとう。日向強引だったろ?」
「ぁ、いえ。別に......見学、楽しかったので」
「なら良かった」

はい、と頷いて、続かない言葉を誤魔化すように肉まんを頬張る。サワムラ先輩はそんな私を見てやっぱりくすくすと笑っていた。

「........何か楽しいんですか?」
「え?あぁ、ごめんごめん。十河さん、昔家で飼ってたハムスターに似てるなぁって」
「........ハムスター........」

まさかこの肉まんを頬張っていっぱいいっぱいになってる所がだろうか。

「ハムスターじゃないです」
「うん、分かってるよ」

心外だ、と私はなるべくハムスターに見えないように今度は小さめに1口食べるけど、サワムラ先輩はずっと笑いっぱなしだった。

ちなみにサワムラ先輩の肉まんは私が半分食べきった時点でもう彼の手から消えていた。



「ご馳走様でした!キャプテン!」
「美味かったっす!!」
「おーおー、んじゃ帰んべー」

部員に囲まれたサワムラ先輩が帰りを促すと、各々がまた固まって坂を下ろうとしていた。私はそれを後目に携帯を取り出す。

今の時間ならあと25分後か........、ここからバス停までって確か15分くらいだから充分間に合う。

よし、と携帯をスカートのポケットに入れて、私は団体から離れて逆方向に足を向けた瞬間、


「えっ!?あれっ、十河さん家そっちなの?!」


日向くんの驚いた声に、私は逆方向に向けた足をもう一度団体にぐるりと向ける羽目になった。

送っていくよ。→←どうだった。



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ちんすこう - 更新しないんですか?凄く楽しみ待ってます。数ある大地さんのお話の中で一番好きです! (2020年5月12日 10時) (レス) id: 9e27674b7b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 草さん» 返信遅れてしまって申し訳ありません。そうなんですね・・・!知識不足でした、ありがとうございます。大地さん大好きなので我慢出来ずに書いちゃいました。読みやすいと言っていただけて安心しました。妬いちゃう大地さん難しかったので萌えて頂けてなによりです。 (2019年11月5日 21時) (レス) id: 3e7d8a8bee (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 早生まれは1/1から4/1で、遅生まれが4/2から12/31なので三月生まれの夢主は遅生まれではなく早生まれですね。大地さん夢珍しい上に文が読みやすいです。妬くところ大地さん普通の高校生で萌えました。 (2019年11月2日 23時) (レス) id: 59c85b2532 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年9月8日 20時

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