恋をしてしまった。【澤村大地】

唐突なお誘い。 ページ9

｢15問中6問正解....明日は2桁正解出来るように頑張ろ、日向くん｣
｢なんで傷口に塩を振るの十河さん........｣
｢えっこれもダメなの........｣

普通のことを言ったつもりなんだけど、どうやら違ったらしい。........普段あんまり人と喋らないし、私の元々が口下手なせいもあってかなんだか日向くんを傷つけてしまった。

余計なことをこれ以上喋ってしまう前に、そろそろ日向くん達も部活だし私は帰ろうかな、とプリントを日向くんに渡して鞄を手に取った瞬間、日向くんがなにかを思い出したのか大声を出す。

｢うるせぇよ日向ァ！｣
｢すっ、すみません！！いやでも、ちょっと、っ、の！！十河さん！！｣
｢ひっ、はい........｣
｢十河さん部活入ってなかったよね？！｣
｢えっ、うっ、うん........｣

怖々と頷けば、日向くんの目がキラキラと光り出す。なんなの........？

｢じゃあさ！バレー部のマネージャーしない？！｣
｢......................へ？...............｣

唐突な情報を投げられた脳みそが処理しきれてない。バレー部の、マネージャー。多分女バレじゃなくて、この言い方だと男バレ、の、マネージャー........？

｢な、なに、急に｣
｢急じゃないんだけど！月の初めに誘おうと思ったんだけどさ！その日休みだったでしょ、十河さん｣
｢あぁ、うん........休んだけど........｣

日向くんが言うには、インハイが終わった後すぐ、3年生の清水さんがマネージャー募集をかけたらしく、帰宅部の子を探してたらしい。で、私と5組の谷地さんが帰宅部だったから誘おうとしたんだけど、私はその日休みだった、という訳だ。

｢だから、おれずっと誘おうと思ったんだけど十河さんHR終わったらすぐ帰っちゃうし........｣
｢あぁ........ウン........｣

そりゃ帰宅部だからね、早く帰って家に引きこもりたいよ。と言うのを飲み込んで、曖昧に返事をする。

｢ね、どう？！入らない？！谷地さんも友達が入ったら喜ぶと思うから！｣

いつ私と谷地さんが友達になったんだろう。この日向くんの友達の友達は皆友達、人類みなベストフレンド！みたいなノリは時わからない。

｢いや、えっとー...............｣

首裏をかきながらそっと周りを見渡すと、傍観してるだけで誰も助けてはくれない。皆の目が｢入る？入る？？｣みたいな目でなんかちょっと怖い。

私はそんな視線を浴びながら、うぅ、と小さく唸ったあと、弱々しく声を出した。

｢と、とりあえず........その、見学、だけ........｣




神様、なんで私をノーと言える日本人に産んでくれなかったんですか。

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