元カノ？ hys ページ10
「は？来月の…第一土曜日？急だな。」
『そうなんだよ。何か、式場見てさ、日程調整したら、その日か、来年の三月ぐらいになっちゃうから、早い方がいいかなって。』
「…まぁ、何とか休みとる。」
来月の第一土曜日…すなわち、十月。
『上川さんのことも、朱音が招待してるはずだから。そういやお前ら、ちゃんと付き合ってんのか？』
「付き合う？」
『だから、彼氏彼女として…交際してんの？ってこと。』
彼氏彼女…。別に、今までも聞いたことのある言葉だけど。
「そんなの考えてなかったな。」
『はぁ！？』
「別に、付き合っても付き合わなくても、同じだろ？」
『お前、本気か？』
「本気だけど。」
両想いになったら、付き合わなきゃいけない、なんて聞いたことないし。
Aだって、特に気にしてないんじゃないのか？
『それ、他の男に上川さんのこと取られても文句言えねーぞ、お前。』
「奪わせねーよ。」
『んなの分かんねーだろ…ほんとバカ。』
はぁ、と大袈裟なくらいため息をつかれる。そこまでのことなのか？
『少なくても、女の人の方は気にするんじゃないの。そういうこと。』
「…そうなのか？」
『ま、お前らがそれで良いなら、構わないけどよ。じゃあ、とにかく、来月の第一土曜日。よろしくな。』
「あぁ。了解。」
プツッ、と無機質な電話を切った音がする。
さて…アイツの結婚式に出るなら、スーツくらい用意しとかないとな。
一昨年あたりに高校時代仲の良かった先輩の結婚式に出たから、あの時のものでいいだろう。大して体型変わってないし。
(…何か、急にAに会いたくなってきた)
今日も確か仕事だったよな。
Aには言ってないけど、迎えに、というか、会いに行こうかな。そう思った俺は小さいバックだけ持って家を出た。
テレビ局の出口付近にある公園のベンチに腰かける。別に中に入っても良いんだけど、Aがどこのフロアにいるか分からないし。
(…あ！)
出口から出てくる人影が、Aに似てている。立ち上がって確認すると、やっぱりAだった。
「A。」
「えっ、ゆきくん？どうしたの？」
「なんか、会いたくなったから。」
「そうなの？…私も会いたかった。って言っても、一昨日会ったんだけどね。」
「毎日会いたいし…何なら、ずっとそばにいたいから、そんなんじゃ足りない。」
そう言って、手を繋ぐ。こうして手を繋ぐことも別に『付き合ってる』って肩書きなんかなくても、することはできる。
だとしたら、付き合うことに、何の意味があるんだろうか。
「ゆきくん？どうかした？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 104人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
イルジオ(プロフ) - 読ませて頂きました！「イルジオの感想置き場」という小説に、感想を書かせて頂きました。見てくださると嬉しいです。それと、お気に入りと高評価をさせて頂きました！ (2020年6月22日 17時) (
レス) id: 40356dc556 (このIDを非表示/違反報告)
Aoi(プロフ) - あいく-Qさん» コメントありがとうございます…！これから学校の方が忙しくなってくるので、せめて週末にでも投稿出来たら良いなと思います…！ (2020年6月5日 15時) (レス) id: 1af304484f (このIDを非表示/違反報告)
あいく-Q - 続編おめでとうございます！これからも楽しみにしています♪ (2020年6月5日 11時) (レス) id: a3a0d25048 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Aoi | 作成日時：2020年6月2日 21時
