・ hys ページ9
(うぇ、甘…)
何であの人は、俺に甘いものあんな沢山食わせたんだ。おかげで何だか気持ち悪い。
「てか、A、山本さんと二人きりで大丈夫かな。」
あの人距離感近すぎるんだよ、と内心毒づく。少し様子見にいこうかな。
そう思って、A達がいる部屋へ向かおうとした。
「ジャスコ。」
「あ…伊沢さん。どうしました？」
「山本のこと、誤解するな。アイツは…俺のせいで、あぁなってるだけで、本当は良い奴だ。」
「え？どういう意味ですか？」
「それだけ。」
どういう意味か、って質問に答える気はないんだ。何かすごく意味深な言葉だな。あの笑顔の裏に、もしかしたら色んなこと抱えてたりするのだろうか。
『…僕を…よ』
中から、微かに山本さんの声が漏れて聞こえた。
そして…Aの声も。
『…やっ…！』
「！」
ガチャっ、と反射的に…ドアを開けた。
「A！」
「…やっぱり、焦るんだね。」
「どういうつもりですか。」
「気になる？」
「…」
真意が読めない。伊沢さんに言われたからか、すごく悪者、って風にも見えなくて。だけど…Aの怯えた表情は…。
「Aを傷付けるなら絶対許さない。」
「そう…じゃあ、傷付けなければ、何してもいいんだね？」
「なっ」
「そういうことでしょ？」
そんなの、屁理屈だ。
そして、そんな子供じみた、稚拙な屁理屈を山本さんが言うなんて。
「…僕には分からないなぁ。」
「え？」
「何でもないよ。じゃあ、僕はもう、お邪魔みたいだし。…またね、上川さん？」
「…っ」
山本さんは、不敵に笑うと、そのまま出ていった。
Aは、相変わらず、強ばった…不安そうな顔をしている。
「何があった？」
「ゆきくんっ…」
「A…？」
ギュッと強く抱きつかれる。
Aが、自ら甘えてくるなんて、珍しい。それほどの何かが、あったのだろうか。
「私、おかしい？」
「え？」
「伊沢さんを好きにならなかった私は…ゆきくんを好きって思い込んでるだけ…？」
「A…」
誰に言われたか、なんてすぐに分かった。
100%山本さんだ。
「ゆきくんのことが、好き、ただそれだけなのに…」
彼女の瞳から、一粒二粒と涙が零れ落ちる。
自分には、全く状況が分からないけれど…そっと彼女の華奢な背中に腕を回す。
「…そのままでいい。Aは、俺を好きなままでいて。大丈夫だから。」
「ゆきくん…好き…好きだよ。」
「うん。それ以上、無理するな。泣きたいなら…思いっきり泣いていいから。」
この日から、少しずつ…俺達の穏やかな日々は、崩壊し始めた。
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イルジオ(プロフ) - 読ませて頂きました！「イルジオの感想置き場」という小説に、感想を書かせて頂きました。見てくださると嬉しいです。それと、お気に入りと高評価をさせて頂きました！ (2020年6月22日 17時) (
レス) id: 40356dc556 (このIDを非表示/違反報告)
Aoi(プロフ) - あいく-Qさん» コメントありがとうございます…！これから学校の方が忙しくなってくるので、せめて週末にでも投稿出来たら良いなと思います…！ (2020年6月5日 15時) (レス) id: 1af304484f (このIDを非表示/違反報告)
あいく-Q - 続編おめでとうございます！これからも楽しみにしています♪ (2020年6月5日 11時) (レス) id: a3a0d25048 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aoi | 作成日時：2020年6月2日 21時
