番外編 レモンティーの思い出 hys ページ50
これはまだ、俺が中学生の頃の話。
いつも通り学校から帰ってくると、Aさんと母さんの話し声。
何でいるんだ？と思わなくもないが、別にそこまで驚かない。幼馴染という関係もあってか、お互いの家に出入りすることはよくある。
「…ただいま。」
「あっ、ゆきくん。」
「今日は何？なんかあった？」
「ううん、特に何もないよ。帰ってくる途中にゆきくんのお母さんと会ったから。」
特に何もないと言っときながら、何となく表情が陰ってる気がするのは、俺だけなのか。
まぁ、何もないなら、それでいいけど。
「じゃあ、Aちゃん、輝幸の部屋にでもいたら？私、貰ってきたケーキ切って持っていくから。」
「あ、ありがとうございます。」
「え、待って。今汚いんだけど。」
掃除とか苦手だし、今は普通に汚い。そんな部屋にAさんを入れていいのか。
そもそも、俺も勉強したいんだけど。
「何を今更気にしてるの。汚いなら掃除すればいいでしょ。」
「…分かったよ。」
母さんには口では勝てない。もう、何も言わないでおこう。
ちらりとAさんに視線を移し、行こう、と無言のメッセージを送る。大抵の場合はこれで通じる。
「ごめんね、ゆきくん。」
「何が？」
「勉強したかったでしょ？」
「でも根を張りすぎても良くないし。別に良いよ。」
ケーキ食べれるし…。
甘いのはそんなに好きではないけど、Aさんと食べる時は別。変だよな…。
部屋に入り、少し物を片付けてからAさんと床に座ると、母さんがいつものようにレモンティーを持ってきてくれた。
「ありがとうございます。」
「Aちゃんならいつでも歓迎よ。ね、輝幸？」
何でそこで俺に振るんだよ。どう答えろって言うんだ。
「別に…嫌ではないけど。」
「ゆきくんは優しいんだから…迷惑だったら言っていいからね？」
優しい？そんなこと、言われたことない。
…悪い気はしないけど。それに迷惑とか思わないし。
「じゃあ、あとはお二人で。」
「…Aさん、食べよっか。」
「うん。」
(あ、これ俺の好きな店のやつ…)
「ふふ、良かったね、ゆきくん。」
「そんな目で見るな。」
「ゆきくんの表情が分かりやすくて。」
そんなに分かりやすかったか…？
「ほら、レモン。好きだろ？」
「ゆきくんが嫌いなだけでしょ？まぁ、好きだけど。」
「…。」
いつものこの流れに、ふっと自分の口が緩むのが分かった。
互いに微笑みを交わしてから、いつものようにティータイムを楽しんだ。そのあと、Aさんの真面目な相談に乗ったのはまた別のお話。
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イルジオ(プロフ) - 読ませて頂きました！「イルジオの感想置き場」という小説に、感想を書かせて頂きました。見てくださると嬉しいです。それと、お気に入りと高評価をさせて頂きました！ (2020年6月22日 17時) (
レス) id: 40356dc556 (このIDを非表示/違反報告)
Aoi(プロフ) - あいく-Qさん» コメントありがとうございます…！これから学校の方が忙しくなってくるので、せめて週末にでも投稿出来たら良いなと思います…！ (2020年6月5日 15時) (レス) id: 1af304484f (このIDを非表示/違反報告)
あいく-Q - 続編おめでとうございます！これからも楽しみにしています♪ (2020年6月5日 11時) (レス) id: a3a0d25048 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aoi | 作成日時：2020年6月2日 21時
