番外編 朱音から見たhys ページ48
「「あ…」」
どちらからともなく声が出てしまう。
林くんとは、お互い顔と名前だけを知ってるような、いわば顔見知り程度の存在だ。もっと言うなら、友達の好きな人兼幼なじみと言うべきか。
とにかく、友達…Aがいる時ならまだしも、林くんと私が話すことはそこまでない。
「偶然だね。林くんも今帰り？」
「はい。」
愛想の欠片も感じられない声。本当、Aは一体林くんのどこを好きになったのだろうか…。
会話を続けようにも、それが出来ない。
「…あの、Aさんが東京の専門学校行くって本当ですか？」
「え？あぁ、うん、私はそう聞いたよ。」
「そうですか…。」
(もしかして、Aが東京に行くの、寂しいのかな？案外脈アリってこと？)
「…俺も、東京の大学受けようかな…」
ボソッとこぼされた声。
いや、本当に林くん、それは…Aのこと好きなんじゃ？少し聞いてみようかな。
「林くんって、Aのこと好き？」
「え？まぁ、はい。嫌いじゃないですけど。幼なじみだし長い間一緒にいましたからね。」
多分、林くんの言ってる好きは、Aの好きとは違うな。
だけど…もしかしたら、本人が気付いてないだけなのかもしれない。
「林くんも、Aのお見舞い行く？」
「え、Aさん具合悪いんですか？」
「知らない？今日は欠席だったよ。」
「…心配ですし、行きます。」
(なるほど)
林くんは少なくても、Aのことはそれなりに大事に思っているのだろう。今日、二人きりにさせたら、何か変わるかもしれないな。
Aは何にでも一生懸命だし、林くんのことだって誰よりも一途に想ってる。そんなAの気持ちはちゃんと報われて欲しい。
そして、Aの家につくと、驚くことに林くんはインターホンを鳴らさずにドアを開けて入っていった。
不法侵入なのでは、と思ったら、Aのお母さんが笑顔で歓迎していたので、やっぱり幼なじみってすごいなって思った。
「あの、Aさん…具合どうですか？」
「まだちょっと悪いみたいだけど。ゆきくんが来てくれたからすぐ治るんじゃない？」
「いや、俺は医者じゃないんで…。」
多分、Aのお母さんが言いたいのは、そういうことじゃない。けど、この感じだと、Aの気持ちは、Aのお母さんにまでバレているんだろう。
どんだけ分かりやすいんだ、あの子は。そして、その分かりやすすぎる気持ちに気付かない林くんは…相当鈍感なんだろう。
鈍感で、口数の少ない林くんだけど…Aを笑顔にするのも、元気にさせるのも、泣かせるのも、全部彼なんだろうな。
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イルジオ(プロフ) - 読ませて頂きました！「イルジオの感想置き場」という小説に、感想を書かせて頂きました。見てくださると嬉しいです。それと、お気に入りと高評価をさせて頂きました！ (2020年6月22日 17時) (
レス) id: 40356dc556 (このIDを非表示/違反報告)
Aoi(プロフ) - あいく-Qさん» コメントありがとうございます…！これから学校の方が忙しくなってくるので、せめて週末にでも投稿出来たら良いなと思います…！ (2020年6月5日 15時) (レス) id: 1af304484f (このIDを非表示/違反報告)
あいく-Q - 続編おめでとうございます！これからも楽しみにしています♪ (2020年6月5日 11時) (レス) id: a3a0d25048 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aoi | 作成日時：2020年6月2日 21時
