・ hys ページ35
「なるほど、素晴らしいですね！では、白石さん、あちらへ。」
「すみません、伊沢さん。」
「いえいえ。」
「さぁ、次の回答者は、伊沢拓司！」
「「よろしくお願いします。」」
軽くお辞儀をして、チラッと視線だけAの方に向けると、頑張って、とAの心の声が聞こえた気がして、思わず頬が緩んだ。
「ジャスコ、ついに来たな。」
「はい、そうですね。せっかくここまで来たので、倒したいと思います。というか、倒します。」
「伊沢、どうだ？」
「ははっ、そう簡単に負けるわけにはいきませんよ。」
(伊沢さんにも…勝ったこととかないんだよな、俺)
けど、今日は不思議と勝てる気がする。
とにかく、押し負けないようにしないとな。
「それではー、参りましょう！」
いつもの効果音と共に、映像がうつされる。
ヤバい、と反射的に思った。世界遺産か…俺が知ってるものが出ればいいけれど。というか、伊沢さんに対して地球押しで正解できる…？
よし、もう押そう。そんな考えが頭に過った瞬間にボタンを押す。視界の端で捉えた映像は、焦点がアメリカの方に寄っているように思えた。
それでもって、上空から…。
自然とひとつの選択肢が自分の中に浮かんだ。合ってるかどうかは知らないけれど。
「…イエローストーン国立公園」
「…」
伊沢さんの視線が俺に向けられる。その視線は、どっちだ？
この、正解か不正解か…分からないこの空白の時間が今でも苦手だ。心臓に悪い。
(頼む…間違えてたら、伊沢さんは確実に…)
一応、ポーカーフェイスを保ちつつも、内心めちゃくちゃドキドキしてる。あぁ、この長い沈黙、嫌だ。
そして…一瞬遅れて、正解を意味する効果音が聞こえてきた。慌てて軽くお辞儀をする。
「お見事！ジャスコ、全員抜き達成です！というわけで、勝者は、東大王チーム！」
わーっという歓声がした。
あ、そうか、俺、全員抜きしたのか…と今更ながらに実感が湧いた。
「伊沢、どうですか、後輩に負けた気分は。」
「いや、めっちゃ悔しいですね。正直なめてました。明らかに前よりも強くなってるんだなって思いましたね。」
「お前、なめちゃダメだろー。ジャスコ、今の気持ちは？」
今の気持ちか。
…早くAに触れたい。なんて。
「そう、ですね。全員抜き出来て嬉しいですし、伊沢さんはもちろん、白石に勝ったのも初めてなので…勝てて良かった、ってホッとしてます。
水上さんが卒業するまで、俺たちは負けれないので。」
それに加えて、今日は…色んなものがかかってたから。
(…白石とも、もう一度話さないとな)
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イルジオ(プロフ) - 読ませて頂きました！「イルジオの感想置き場」という小説に、感想を書かせて頂きました。見てくださると嬉しいです。それと、お気に入りと高評価をさせて頂きました！ (2020年6月22日 17時) (
レス) id: 40356dc556 (このIDを非表示/違反報告)
Aoi(プロフ) - あいく-Qさん» コメントありがとうございます…！これから学校の方が忙しくなってくるので、せめて週末にでも投稿出来たら良いなと思います…！ (2020年6月5日 15時) (レス) id: 1af304484f (このIDを非表示/違反報告)
あいく-Q - 続編おめでとうございます！これからも楽しみにしています♪ (2020年6月5日 11時) (レス) id: a3a0d25048 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aoi | 作成日時：2020年6月2日 21時
