・ hys ページ30
とは言ったけど。具体的にどこを話せば…って、Aが知りたいことは、ただ一つか。
「Aもわかってくれてると思うけど、俺は白石とは付き合ってなかったよ。何度だって言うけど、俺が好きなのは、Aだけだから。」
「うん…」
「キスのことは、白石としてないって言ったら嘘になる。」
たとえ無理やりだったとしても、今日だってしてしまったし。
もちろん、俺からではないけれど。
「ゆきくんは、白石さんのこと…好きだった？」
「違う。あの時のキスは…まさに今日みたいに、王様ゲームの時のものだから。
高校卒業した時にクラスの皆で打ち上げ行って…そんときにクラスのヤツらが悪ノリして、仕組んだらしい。」
本当、やめてほしい、あぁいうの。
何で根拠もない話を信じて、キスなんてさせるのか…あの時は俺も、何で白石がキスなんてしてくるのか理解できなかったな。
今なら分かる気がする。
「つまり、俺は白石に対して恋愛感情なんてない。白石がAに何言ってるのか知らないけど、そんな不安になることはないから。」
(…って言っても、Aは気にするんだろうな)
これも、俺のせいだけど。
…いつも俺は、Aを不安にさせてばかりだ。白石とのことも、姉ちゃんのことも。
「ゆきくん、今だけ…良い？」
俺に抱きついて、背中に腕を回すA。顔を填めているから、Aの顔が見えない。
だけど、微かに伝わってくるAの嗚咽。
言葉で慰める代わりに、Aの華奢な背中にそっと腕をまわし、彼女をさらに自分の方へと引き寄せた。
「ごめんね、ゆきくん…。」
「何でAが謝るの。Aは何も悪くない。」
「ゆきくんのこと、信じたいけど…信じれない自分がいた。だからこそ、こんな…不安になっちゃうの。」
信じたいけど、信じれない…か。
確かに、あの二次会はAにとっては辛かったかもしれない。白石も、その周りの同級生も、皆俺が白石と付き合ってたというような会話をしていたから。
「…じゃあ、これからは…信じさせる。時間かかるかもしれないけど。だから、もう泣くな。」
「うん…ごめんね」
そっと顔を上げたAは、少し気まずそうに俺から目を逸らす。
Aの零れかけていた涙を拭い、一瞬だけ躊躇ったあと、彼女の唇に自分のを重ねた。
「もっ、と…」
(え？)
今、もっとって言った？…ホントに、Aは…俺の理性を壊す気か。
いや、違うか。それくらい、不安なのかもしれない。
「好きだよ、A…」
そう言って再びキスをする。
(決めた。…もう、これ以上不安にはさせない…)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 104人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
イルジオ(プロフ) - 読ませて頂きました！「イルジオの感想置き場」という小説に、感想を書かせて頂きました。見てくださると嬉しいです。それと、お気に入りと高評価をさせて頂きました！ (2020年6月22日 17時) (
レス) id: 40356dc556 (このIDを非表示/違反報告)
Aoi(プロフ) - あいく-Qさん» コメントありがとうございます…！これから学校の方が忙しくなってくるので、せめて週末にでも投稿出来たら良いなと思います…！ (2020年6月5日 15時) (レス) id: 1af304484f (このIDを非表示/違反報告)
あいく-Q - 続編おめでとうございます！これからも楽しみにしています♪ (2020年6月5日 11時) (レス) id: a3a0d25048 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Aoi | 作成日時：2020年6月2日 21時
