episode 40 hys ページ42
「…今何時？」
「ん？六時半くらい。」
「悪い、俺、もう行くから。」
集合場所はここだから、行かない方がすれ違いにならない。でも…Aさんが約束の時間より遅れてくることは考えられない。スマホに何の連絡もないし。
だとしたら…多分、俺とこいつが話してるのを見て、遠慮して違うところに行ったんだろう。トイレとか、まぁ、そこまで遠く離れてないところに。
「…なんか、ゆきが遠く感じるね。」
「は？」
「行かないで、って…私といて、って言ったら、ゆきはここにいてくれる？」
「…何か具合悪いのか？だったら、俺より親御さんに…。」
「それは、本気で言ってる？」
…本気じゃない。
鈍感だと言われてる俺も、こいつが醸し出す雰囲気で完全に悟った。
「あーあ、やっぱり元カノってだけじゃ、引き止めれないか。」
「っ、はぁ…？いつ、お前が俺と付き合ったって言うんだよ。」
「すっとぼけないでよ。だってゆき、言ってくれたじゃん。」
(…は？全く身に覚えがない)
なんだろ、この全身からわきおこる畏怖感。寒気に似たようなもの。
「…東京で洗脳でもされたの？まぁ、いずれ思い出させるから、良いか。またね、ゆき。」
洗脳されてるのは、お前の方じゃ…？
え？は？意味が分かんない。
(…え、俺、だって、好きとか、思ったことが一度でもあったか…？)
あったとしても、それは、友達としての好きであって、今、Aさんに抱いてる子の感情とは全く別物だろう。
そういえば、Aさん、遅いな。
…電話でもしようかな？
何かあったとしたら、助けに行かないと、ってそれは考えすぎか…。
(…落ち着かねー)
ソワソワする。何だ、これ、もう…最近の俺は、自分でも分からなくなるくらい、変だ。
それからしばらくすると、Aさんが慌てたように俺のところに駆け寄った。
「ごめんねっ、ゆきくん。遅れちゃって…」
「…！」
…どうしよう。分かってはいたけど。
「…すげぇ可愛い。」
「あ、ありがとっ…」
「そんな格好でいたら、悪い虫ついてきそうだし。はい。」
「つかないよ…。」
少し不貞腐れたような表情をしながらも、Aさんは俺の手をとる。
こんな風に…手とか、繋いでるの見たら、本当、デートみたいだよな。
(誰にも見せたくない)
無理だけど、その姿は、俺だけが…と思ってしまう。わりと俺、独占欲強いかも。
「ゆきくんも浴衣、似合ってる。なんか新鮮だね。」
「だな。てか、もっとこっち来て。人にぶつかる。」
「…だって、なんか、…ドキドキするんだもん。」
「っ、あんまそういうこと言うな。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 92人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あいく-Q - 更新量が凄い…！続きを見られて嬉しいですが、あまり無理をしないでください！>_< あと、番外編の鶴skさんがめっちゃくちゃ好きです(実は最推しなんです…)。 (2020年5月31日 14時) (
レス) id: a3a0d25048 (このIDを非表示/違反報告)
Aoi(プロフ) - 水渚桃華さん» いえいえ(-´∀`-)こちらこそ、読んでくれてありがとうございます(*^^*) (2020年5月26日 8時) (レス) id: 1af304484f (このIDを非表示/違反報告)
水渚桃華 - 読ませていただきました！ドキドキして、面白かったです！これから２人は、どうなるか、楽しみです。更新頑張ってくださいね！イベント参加有難うございます。 (2020年5月25日 21時) (レス) id: 3a85905bbd (このIDを非表示/違反報告)
Aoi(プロフ) - あいく-Qさん» コメントありがとうございます(*^^*)更新頻度は遅くなったり早くなったりすると思いますが…最後まで読んでいただけたら嬉しいです！ (2020年5月25日 21時) (レス) id: 1af304484f (このIDを非表示/違反報告)
あいく-Q - コメント失礼します。推しのジャスさんがメイン…という事で来ました！クールなジャスさんもまた良き…！今後の展開が楽しみです！更新、楽しみにしています！ (2020年5月25日 12時) (レス) id: a3a0d25048 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Aoi | 作成日時：2020年5月24日 21時
