White Angel -takuya.N- ページ8
切ないXmas
ーーー
真面目で几帳面で優しくて、
女心が分からない鈍感な人。
初めて出会った時でさえ、
卓くんにだけは飾らず全てを話せたの。
今になっても1年前と2人とも変わらないけど、
何かを隠している時は無口になって、
目を見られない卓くんだから直ぐに分かった。
卓くんの胸に忘れられない人がいることを。
『卓くん、明日クリスマスだね?
何か予定でもある?』
「なかねぇ。」
『やっぱり。』
「うるさい。笑」
『じゃあ、仕方がないから、
私が一緒に過ごしてあげる。
クリスマスに一人ぼっちって寂しいでしょ?』
「とか言うてAが寂しかやろ?笑」
ブー。
寂しいからじゃないよ?
特別な日に特別な人と過ごしたいだけ。
♪♪♪〜
「A?」
『どうしたの?』
「クリスマスさ、」
『うん。笑』
「一緒に過ごせん。」
『何で?』
「んー、と、
隠しとった訳やなかやけど、彼女がさ?
クリスマス一緒に過ごさんか?って言うてきて…その…」
彼女=卓くんの忘れられない人。
何となく分かってた。
こうなる事。女の勘。
彼女が卓くんを見る瞳が、
私と同じ瞳をしていたから…
『良かったじゃん。
これで、卓くんHappyなクリスマスになるね?
妹役としては安心したよ。笑』
「ごめんな。」
『何よ、謝んないでよ。笑』
"ごめん"なんていらないんだよ。
いらないんだよ…
沈黙さえ続かなければ二人の間に愛があると思っていたの。
恥ずかしい程、バカげてるでしょ?
妹役を買ってでも卓くんの特別になりたかった。
今日も卓くんからの電話越しの声。
「Xmas present何がよかと思う?
Aなら何が欲しか?」
私の欲しい物は、
きっと、ずっと、
卓くんには分からないよ。
「女心は難しかね?
Aみたいに楽に話せんや。笑」
『卓くんが選んだ物なら、
何でも嬉しいと思うよ?
私ならその気持ちがきっと嬉しい。』
涙声に気付かない卓くんは、
"そっか"と電話越しでおどけて笑う。
『卓くん?』
「ん?」
『Merry Christmas』
「まだ、早かばい。笑」
分かってる。
でも、彼女よりも先に、
卓くんに言いたかったの。
これぐらい、いいよね?
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作者名:haru | 作成日時:2020年12月22日 0時