teddy bear (ページ32)

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weed ⑤ ページ32

かっこ良かったよ。
誰よりも…

ーーー

『こんなカッコイイ奴と、
どーやって知り合ったんだろう?
って思うぐらいかっこ良かった。』

0-1の七回にチームメイトの選手が中犠飛で追いつき、
九回には相手チームのピッチャーから、安打と四死球で、
2死満塁と攻め立てると、彼はライトスタンドに劇的な、
ホームランを叩き込み、試合に決着をつけた。

塁を回る時、
綺麗なアーチを放つボールの行方を見て驚く私を他所に、
子供みたいな無邪気な笑顔を見せた。
そして、"見たか！"と言わんばかりの顔で私に指をさした。

その後、
ホームで待ち構えたチームメイトから手洗い祝福を受けてる。

「今日はやけに素直やん。笑」

『何で、あんたが私に野球をしてるとこ、
見せてくれたのが、ずっと分かんなかった。
でも、私の中で一つ答えが出たよ?』

もう逃げない。
もう負けない。
生きて、生きまくる。

だから、見てて遥輝。

この命を終わらせたくない。
この恋も終わらせたくない。

「どう言う事が?」

『私は一人じゃない。』

「ん?笑」

いつか彼は夢を見に行くのだろう。
いつか、どこか広い空の下へ…

その時が来たら、私なんてほっぽってさ、
またいつもの笑顔で「行って来るわ」って、手を振りそう。
だって、そう言う男だもん遥輝は。
私は、そんな男を好きになったんだもん。

一人じゃない。
もう私は一人じゃない。

今日も街には人が溢れ、
アスファルトに小さなタンポポが咲く。

"何も、こんなとこで咲かなくても、
違うとこで咲いてたら、もっと綺麗に咲けたのに…"

って誰かが話す。

…でも、でもね？
雑踏の中だからこそ、強く、しぶとく、
咲けたのかもしれないよ？

時が流れても、集まる顔は変わっても、街は眠らない。
そして終わりはしない。

偶然にも似た必然的な出会いをした2人の様に、

永遠に終わりはしないよ。