teddy bear (ページ17)

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意地悪時々優しい彼 -tetsuto.Y- ページ17

さすが、
プロ野球選手。

ーーー

初めて彼に恋をした日。
何か足りない気がしたのも、
大人になればいつか変わると信じてた。

まるで隠すみたいに握りしめた掌。
あの日夢見たものは潰れてしまったのかな？

私が抱きしめるのは彼の背中じゃなくて、
こんなにも暖かい彼への気持ち。

一体、何年経ったら誰かを好きになる事に素直になれるん？
守り抜いた掌を開く事は出来ひんけど、
大切にしている事を許して下さい。

一体、何回涙を吹けば強くなれるんやろう？
いつになれば、大切なモノだけを守り抜けるんやろう？

ねぇ小さかった頃を覚えてる？
いつも一緒やったの覚えてる？
あれから一人で探してる。君を忘れずに探してる。
哲人から会いにやって来た無邪気やった頃を覚えてる？

きっと哲人は「そんな昔の事…」と言いそう。

いくつも曲がり角で、駆け寄る度に日が暮れて、
夕焼け小焼けは影を一つしか伸ばさない。

届かない木の実を見つけては、ベソかいて君にねだったね？
あれから結局届かない。一番欲しいモノに届かない。

見上げるばかりやったその肩は、
背伸びでもしなきゃ触れられない。

『哲人？今から会いに行ってい？』

あの頃、追いかけていた背中にじゃなくて、
真っ直ぐ真正面から伝えたい事がある。

「俺が今、どこにおるんか知ってんの？」
『昔よく夕暮れまで遊んでた公園やろ？』
「よー、分かってるやん。笑」

君を見つけだす事、得意になってきたよ？

一つのボールを壁に投げては、跳ね返るボールを、
グローブで救ってる後ろ姿を見つけた。

『哲人！私にも投げさして？』
「来ていきなり？笑」
『あれに当てたら私を哲人の彼女にして！』

壁の真ん中に〇の印が着いた落書きを指さした。

「当たったらな。笑」
『言ったで？』

なんて、意気込んでみたけど見事に枠から外れた。

「残念でしたー。笑」
『じゃあ、このまま勝手に好きになっててもい？』
「なんやそれ。笑」
『だって、的外したし…』

やっぱり運動音痴な私には何しても無理か。
私なりに頑張ったのになぁ、

「A?じゃあ、俺が決めたら俺の彼女になれ!」

そう言って投げた球は見事に的に命中した。

「入ったけど、どうする?笑」