色 -yu-ya.T- ページ14
悪戯に笑う、
君の笑顔は反則?
ーーー
なぁ、雄也?
昔、家の近くに空き地があったん覚えてる?
雑草だらけで、ただ風にそよいでただけで、
何もなかった場所にどっかから盗んで来たダンボールで、
2人だけの秘密基地作ったよな?覚えてる?
子供の時よくそこで日が暮れるまで遊んでて、
お母さんらによう怒られてたっけ?
あの頃、太陽の影によって出来た緑の地図は、
今思えば冒険への誘いやったんかな?
なんて、
雄也が拾って来た変な形の小枝とか、不思議な色した石ころ、
誰かが落としたカラフルなビーズや、動物に似た柄のボタン。
全部、ぜーんぶ、
子供の時に大切にしてた宝物はどこにいったんやろ?
"Aちゃん!見て見て!虹!"
"あ、ホンマや、キレイ!"
"うん、キレイやなぁ。"
"欲しいなぁ。"
"欲しいん?"
"うん、欲しい!"
"んー、取れへん、取れへんAちゃん。"
"雄也くん男の子やのに取れへんの?"
"僕が小さいからや。大きくなったらAちゃんにあげる。"
"ホンマ?雄也くん約束な?"
"うん。約束する。"
あの時、何度も何度もした指切りげんまんは、
まだ有効ですか?
子供の時に、クッキーの箱にしまってたはずの宝物は、
無くしてしまったけど、
一番、無くしたくない宝物は、今日も汗水を流しながら、
懸命にグラウンドを駆け抜けてます。
"Aちゃん!見て見て!太陽が黄色から赤になってる。"
"あ、ホンマやぁ。"
"Aちゃん、僕なぁ?大きくなったら野球選手になる!"
"凄い、雄也くん。じゃあ、約束な?"
"うん。約束!"
遠い青空と、真っ白な雲の下で交した、
小さな小指と小指の指切りげんまん。
『ホンマになりやがった。』
「何が?」
『なんもない。笑』
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作者名:haru | 作成日時:2020年12月22日 0時