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くじらぐも ページ42

雲をじっくり見たことなんてこの年になってあっただろうか。

子供の頃は何気なしに見ていたことがある。

友だちと、魚、オムライス、ハンバーグみたい！と雲を見ては自分たちの好きな食べ物のカタチをした雲を見つけて大はしゃぎして。





学校の休み時間。

いつもだったら教室の最後列にある櫻井と二宮の席に集まって5人で何気ないバカな話をしてるのに。

貧血で倒れた櫻井は今、保険室のベッドに寝ている。



「少し留守番よろしくな〜」と、年齢不詳の養護教諭の橋口は櫻井の頭をボンポンと撫でて出ていったきり戻ってこない。

相手をしてくれる人もおらず教室に戻ろうかと思ったが、今戻ったら心配している二宮達や橋口に何を言われるか分からないと、ベッドに腰掛け直した。




ふと空を見る。

大きな雲が1つ。


―くじらぐもみたい


小学生の国語の時間に勉強した『くじらぐも』を思い出した。

体育の時間 空に現れたくじらぐも。
くじらぐもは子どもたちと一緒にストレッチをしたり走ったり。
最後は子どもたちがくじらぐもに乗って海や町の上を泳ぐ。


くじらぐもに自分たちも乗ってみたいと言う子がいた。
くじらぐもに乗って外国に行きたいと言った子もいた。

今も昔も高所恐怖症の櫻井はそんなことを言う友達が分からなかった。
くじらぐもなんかに乗ったら、あんなに高いところまで行かなきゃいけない。そもそも雲なんかに乗れるわけがない。



あの時の同級生は好奇心で言っていたんだと思う。

夢が溢れる小学生。




―くじらぐもに乗ってどこか遠くに行きたい

夢溢れる好奇心なんかじゃなく。









「翔ちゃんお弁当食べよう」


そういえば、くじらぐもに乗った子どもたちもお昼の時間になったら戻ってきてたな。





end.








書いてて自分でもよく分からず…。

あとがき的なもの、です。※サクラから※→←金髪にしたいと言ったら。1

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