16 “流星”のこと ページ17
side 紫
長い廊下を歩く。
限られた放課を惜しむように生徒が行き交う。
横連窓を弱い雨が叩く。
俺の少し後ろを歩く小瀧が、
その窓の外をしきりに気にしている。
「何や、外ばっか見て」
「あっ、いえ、な、何でも・・」
「何？」
「・・・ひ、ひどい、顔やなあって・・」
その言葉に、小瀧が窓の外じゃなく、窓に写る治りかけで褐色色になった自分の顔の痣を見ていたのが分かった。
努めて気にしてない風を装い、無理やり茶化すような表情をして、小瀧は手で頬を覆った。
小瀧が自分の感情を隠そうとするとき、
いつも、消えそうに儚いと思う。
何とかしてやりたいのに、何もできなくて。
助けれるよな、
何とかしてやってよ、
そう漏らした今朝の藤井の顔が浮かんだ。
「・・・小瀧、俺のとこ来んのもええけど、
藤井とはまだ気まずいままなん？
ほんまに避けとんのか？
はよ誤解解きや、」
これから小瀧が職員室に訪れる度に
興味本意の塊みたいなあの
下世話な視線に晒されると思うと耐え難かった。
そんな俺の意図なんか知る由もない小瀧は、
傷ついたような目をして
自嘲するように俯いた。
「お、おれが・・・、
濱ちゃんとこ来んの、
め、・・迷惑ですか？」
「いやいや、ちゃうやん、話すり替えんなや、」
「と、書室、行って来る」
「小瀧、」
明後日な方向に行く小瀧の論点を
強めの声色で引き戻している内に
その顔付きと、敬語が徐々に崩れていった。
「・・・・も、ええの、流星、のことはっ、」
「・・そんな顔ちゃうで」
「・・・・ええの・・っ」
はあ、と息吐き出してふらつく小瀧は、前もそうやけど地雷踏んだら過呼吸みたいになるタイプの子らしい。
学校でも過呼吸起こす子はたまには居るから、そない驚きもせんけど。
無意識にか俺の肩に、半ば頭突きみたいな格好で顔の重みを預けてくるから少しあきれて
それでも無下に扱うなんて出来るわけなくて
ぽんぽん、と抱き止めるようにその背中を軽く叩いた。
「──濱、ちゃん、・・・・・小瀧」
行き交う生徒の中。
小瀧と俺の横で、藤井が足を止めた。
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まいん(プロフ) - Noさん» ありがとうございます。わざわざコメントまで書いていただいて恐縮です。すみません。そんなふうに言っていただけてこちらこそ本当に嬉しいです。ありがとうございます。 (2021年4月30日 22時) (
レス) id: 715f3175ec (このIDを非表示/違反報告)
まいん(プロフ) - かこさん» Oh…ありがとうございます(泣)こちらこそ早速ご覧いただき本当にありがとうございます。お待たせしてすみませんでした。 (2021年4月30日 22時) (レス) id: 715f3175ec (このIDを非表示/違反報告)
No(プロフ) - ずっと待ってました>_<本当に嬉しい限りです。 (2021年4月30日 18時) (レス) id: a928634097 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - まいんさん» ずっと待ってました（ ; ; ）更新してくださって本当にありがとうございます！ (2021年4月30日 14時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
まいん(プロフ) - 名無しさん» お恥ずかしいです。もったいないご感想で恐縮です。そして嬉しいです。私の小説に対してなのか不安になってしまうほどです。何かの間違いでなければ、本当にありがとうございます。 (2021年4月30日 11時) (レス) id: 715f3175ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まいん | 作成日時：2019年9月6日 19時
