鉛色の空〈JW青×桃〉

10　逃げたい ページ10

side 桃




流星と一緒に振り向いたら、そこに居たんは
ボールバッグ抱えた部活帰りの、おれのクラスメイト。
おれだけ、すぐに靴箱の方向きなおって、
丸見えで意味ないのに、隠れるみたいにしゃがんだ。

おれは、同じクラスの人だから知っとるだけやけど、流星顔広いねんな
流星の友達なら、余計流星と居るとこ、見られたない。
やってよく、絡まれてまう相手のひとり、やったから。


流星まで、なんか言われてまうかも。





「別に。友達と話しとった。部活お疲れさん」



流星は、しゃがみ込むおれのこと何か言いたげにちらっと見て
この人とあんま仲良ないんかな？って思うような、素っ気ない声を出す。



「友達て、小瀧？」


　

なんでお前と小瀧？ってバカにするみたいに続いた声が、
背中に降りかかってきて、なんだかいたたまれなくなってしまう。


居づらい。

おれはええけど
流星、きっと困っとる。



どないしよ。





「・・・・あの！ごごめん、・・・おれ、かっ帰るなっ、」




何も解決策が見当たらんくて、もうその場に居れんくて立ち上がった。
やけどカバンひっつかんでスニーカーに足突っ込んだ瞬間、踏み出そうとした視界は、揺れて
流星に腕掴まれて引き留められてた。





「何でお前が帰る必要があんねん」




言われてみたら、

ほんま、そうや
流星はおれのために、一生懸命上履き探してくれとるんに、何でおれが帰るねん。



「・・・・・っ、」



吃音のせいだけやない、自分勝手な行動をしたことが恥ずかしくて、言葉が出てこん。

アホみたいに口開けたまま、流星の、はじめてみる
人を射抜くようなきつい視線から目が離されへん。






「・・・小瀧さあ、流星に上履き探してもらっとったんやろ？」








何でそんなこと知っとるのかなんて、別に知りたない。


流星とおれを、野次馬みたいに見てたクラスメイトの言葉の意味なんて、






ほんまに、もう帰りたい。

自分勝手でもなんでもええから。



お願い。



流星のこと、巻き込みたないんよ、








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必死な小瀧さん

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