38 あの日の間違い ページ38
side 青
微妙に離れた距離守りつつ、
隣を歩く。
気になっていた小瀧の顔のあざは、
残念ながら良くはなっていないように見える。
痛々しいな。
自分が代わってやれた方がよっぽど楽や。
人の痛み気にしたことなんかないような薄情なはずの自分が
そんな風に思うのが不思議やった。
何も言葉を交わせないまま、学校過ぎて住宅街
あと少しで小瀧の家、て十字路で
小瀧の体が固まった。
不思議に思って隣を見ると
その視線は真っ直ぐに前を見つめていた。
「・・・・・さん、」
小瀧から目線外して同じように前にやると、
そこには
小瀧と同じくらいか少しだけ低い背丈の、
50代ぐらいの男が立っていた。
父さん、て言うた？
「小瀧、親父さん？」
前向いたまま小声で確認しても
小瀧は聞こえんかったのか、返事がないまま。
もう一度目線を小瀧に戻すと、
ぎょっとするような無表情と、目。
この目は、俺も向けられたことがある。
保健室で。
「・・・・望」
誰の名前か、一瞬わからなかった。
初めて知った、
ずっと知りたかった小瀧の、名字の続き。
「そういう乱れた服装は止めなさい」
「は、はい、・・・ご、ごめんなさい、」
乱れた服装？
まだ挨拶もしてない内に。
ただのロンTとスキニーやけど、小瀧。
それでも、小瀧は青く顔色を変えて項垂れる。
「帰るぞ」
え、何やこれ
付いていかれへんねんけど。
小瀧、固まっとるし。
「・・・あの、すいません
僕藤井流星言います、
小瀧くんの友達で、」
見ていられなくて口を出したそばから
そんなことはどうでもええって気持ちしか感じへんような睨みに
ちょっと怯む。
「そうですか、
望がお世話になりました
ほら、早くしろ」
取って付けたような社交辞令吐くなり、小瀧の腕を乱暴に掴む。
小瀧の顔が歪んで、後退ろうとするのに、呆気なく体が男の方に引かれた。
転ばそうとでもしとるみたいに。
「・・・待、っ・・・」
今度はさっきよりも強く、連れてかれそうになるのを
綱引きのように踏ん張って、待って、と小瀧が言いかけた時
抵抗とも取れへんようなその小さな抵抗に、
瞬きしていたら見逃してしまいそうな早さで
男が小瀧の頬をはたいた。
「────は？、
ちょっと、」
自分の目を疑いながら、
衝撃に乱れた前髪で見えない小瀧の表情を追う。
なんや、こいつ、
俺はもしかして、
勘違いしとったんか？
────殴る相手間違えた？
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まいん(プロフ) - naさん» ありがとうございます。もう忘れ去られてると思ってるので嬉しいです。お時間割いて見ていただいてわざわざコメントまで、本当にありがとうございました。 (2020年5月18日 23時) (
レス) id: 715f3175ec (このIDを非表示/違反報告)
na - はじめまして。このお話が本当に面白くて絶対に完結させてほしいです。 (2020年5月2日 4時) (レス) id: 195cac4769 (このIDを非表示/違反報告)
まいん(プロフ) - ###さん» ありがとうごさいます。もう本当にそんな風に言っていただけて身に余る程幸せです。短編集も見ていただいて有り難いとしかいいようがありません。浮かれた勢いで調子乗って更新してしまったので、またお時間あるときにでも良ければ見てやってくださいね。 (2019年7月18日 8時) (レス) id: 16d7e0d9f4 (このIDを非表示/違反報告)
###(プロフ) - まいんさん» いえいえ、どの作品も本当に面白くて、私の目は間違ってなかったなと自分を誉めたいぐらいです(笑) 短編集のほうも時々覗いているので気が向けば更新してもらえると嬉しいな〜と思います(..) (2019年7月18日 2時) (レス) id: 643eb217bd (このIDを非表示/違反報告)
まいん(プロフ) - ###さん» ###さんいつもありがとうございます(;_;)色々考えながら読んでくださり、ありがとうございます。気になる展開と言ってくださり嬉しいです！ありがとうございます (2019年7月17日 21時) (レス) id: 16d7e0d9f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まいん | 作成日時：2019年6月24日 23時
