14 聞きそびれた ページ14
side 青
小瀧の家の前で別れた、その足で俺は、学校の正門をくぐった。
帰り道、ずっと考えてた。
小瀧を守る方法。
上履きも履かずに階段を二段飛ばしに駆け上がりながら
そういえば、聞きそびれたなと思った。
あいつの下の名前、
それから
小瀧の家族のこと。
聞きかけた時、あのアホが声かけてきよったから。
家族、おらんのかな。
どういうことやろ。
「濱ちゃん！」
夕方というより時刻は夜に差し掛かり、もう教師の数も疎らな、職員室の引き戸を勢いよく開けた。
学年主任に静かに開けんかい、とどやされるのも納得の、我ながらまあまあな五月蝿さやった。
俺が呼んだその人は、出入り口に近い机で、あほやなあ、って呆れたような顔でこっちをちらりと見た。
「藤井、まだ居ったんか？」
「濱ちゃん、」
「濱ちゃんやないでしょ。濱田先生でしょ」
「濱ちゃん先生」
「惜しいな、惜しい・・・」
「呼び方なんてどうでもええねん！」
「君ね、先生に対してね、」
「あんな、お願いがあんねん」
食い気味で被せ、濱ちゃんの顔にぐいっと近寄る。
なんやねん、とパッと目を離す濱ちゃんは、
俺のするお願いにろくなことがあったためしがないのを知っとる。
「俺な、C組に入りたいねん、クラス替えて？」
「・・・はあっ？」
「C組入りたいねん」
「・・・・・いや、いやいやアカンよ、何を言い出すねん君はほんまに。
大体な先生にそんな権限はありません」
「・・・・濱ちゃん、お願いやって」
「はぁもぉ、なんやねん、・・・はぁ、まぁえぇわ理由だけ聞いたる」
濱ちゃんのこういうとこ好き。
常識人で平和主義者やからワケわからんこととか波風立ちそうなことには
あかんとか無理やとかすぐ弱気にはなんねんけど、ちゃんと話は聞いてくれる。
ま、本人にはよう言わんけど。
「んー、おれな友達ができてん、C組に。」
「友達ができたのはええことです。仲良ぉしなさい。
ほんではよほんまの理由言いや」
君が思っとるほど先生も暇ちゃうねん。
そう言って張り付けたような冷たい笑顔する濱ちゃん。
ちょっと怖い。
─────
濱ちゃんは元ヤン
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まいん(プロフ) - naさん» ありがとうございます。もう忘れ去られてると思ってるので嬉しいです。お時間割いて見ていただいてわざわざコメントまで、本当にありがとうございました。 (2020年5月18日 23時) (
レス) id: 715f3175ec (このIDを非表示/違反報告)
na - はじめまして。このお話が本当に面白くて絶対に完結させてほしいです。 (2020年5月2日 4時) (レス) id: 195cac4769 (このIDを非表示/違反報告)
まいん(プロフ) - ###さん» ありがとうごさいます。もう本当にそんな風に言っていただけて身に余る程幸せです。短編集も見ていただいて有り難いとしかいいようがありません。浮かれた勢いで調子乗って更新してしまったので、またお時間あるときにでも良ければ見てやってくださいね。 (2019年7月18日 8時) (レス) id: 16d7e0d9f4 (このIDを非表示/違反報告)
###(プロフ) - まいんさん» いえいえ、どの作品も本当に面白くて、私の目は間違ってなかったなと自分を誉めたいぐらいです(笑) 短編集のほうも時々覗いているので気が向けば更新してもらえると嬉しいな〜と思います(..) (2019年7月18日 2時) (レス) id: 643eb217bd (このIDを非表示/違反報告)
まいん(プロフ) - ###さん» ###さんいつもありがとうございます(;_;)色々考えながら読んでくださり、ありがとうございます。気になる展開と言ってくださり嬉しいです！ありがとうございます (2019年7月17日 21時) (レス) id: 16d7e0d9f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まいん | 作成日時：2019年6月24日 23時
