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「あんなやつ、おった?」

サッカーの授業をひきずったボール遊びで
長居してしまった校庭から校舎へと急いでた。
向かう先に見慣れない顔をとらえて、咄嗟にそう呟いていた。
声に出すつもりはなかったから、え?って顔をする、
一緒に走ってた友達に自分も驚きながら苦笑い。


ごまかそうと思ったけど、どこ?女子?どこ、って
笑えるくらい友達が五月蝿いから。


「ちゃうよ、男。あの、下駄箱におる、背ぇ高いやつ」


名前、小瀧、何とか。
タメで俺らから二つとなりのクラス。
顔、腹立つほどイケメン
性格、話したことないから知らん。




背え高いて自分も同じくらい高いやんけ自慢か、って突っ込まれながらも、
体育終わりでテンション高めなその友達から
イマイチ役に立ちそうにない情報を頂戴した。
しかも情報の二個目はむしろそれが気になって目に留まったんやから
言われなくても分かる。

ルックスでは褒められることに慣れてるはずの自分が、
負けたかな、って思ったくらい。


かっこええ奴てイヤよなー、って流星に言うても無駄かー!て。
気の良い友達。ただ声でかい。


「や、かっこええっていうか、」


不思議そうに自分の方を見た友達にはっとして、
慌ててなんもない、って会話続くのを終わらせて。

自分の出席番の棚から踵が潰れた上履きをスノコの上に放った。

同時に予令が響いて、流星はやく、と走り出す友達を追いかけようとして、
ふと後ろを振り向く。


一瞬、例の背え高い奴と目が合ってしまって。




動揺した。



話したこともないどころか、見たのも多分、今日が初めて。
性格も知らない、声も知らない、
自分と背丈が変わらない、自分と同じ───男。


数分前に言い掛けていた、
今は確信に変わった自分の感情に戸惑って、動揺した。



かっこええっていうか、あれは。







廊下の角を曲がる前に、もう一度姿を見たくて振り返ったそこに、
そいつはもう居らんくなってた。





────
友達はしげちゃん

2 汚れる靴下→



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まいん(プロフ) - naさん» ありがとうございます。もう忘れ去られてると思ってるので嬉しいです。お時間割いて見ていただいてわざわざコメントまで、本当にありがとうございました。 (2020年5月18日 23時) (レス) id: 715f3175ec (このIDを非表示/違反報告)
na - はじめまして。このお話が本当に面白くて絶対に完結させてほしいです。 (2020年5月2日 4時) (レス) id: 195cac4769 (このIDを非表示/違反報告)
まいん(プロフ) - ###さん» ありがとうごさいます。もう本当にそんな風に言っていただけて身に余る程幸せです。短編集も見ていただいて有り難いとしかいいようがありません。浮かれた勢いで調子乗って更新してしまったので、またお時間あるときにでも良ければ見てやってくださいね。 (2019年7月18日 8時) (レス) id: 16d7e0d9f4 (このIDを非表示/違反報告)
###(プロフ) - まいんさん» いえいえ、どの作品も本当に面白くて、私の目は間違ってなかったなと自分を誉めたいぐらいです(笑) 短編集のほうも時々覗いているので気が向けば更新してもらえると嬉しいな〜と思います(..) (2019年7月18日 2時) (レス) id: 643eb217bd (このIDを非表示/違反報告)
まいん(プロフ) - ###さん» ###さんいつもありがとうございます(;_;)色々考えながら読んでくださり、ありがとうございます。気になる展開と言ってくださり嬉しいです!ありがとうございます (2019年7月17日 21時) (レス) id: 16d7e0d9f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まいん | 作成日時:2019年6月24日 23時

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