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『 マシュー、近づかないでね』
遠くから黒い煙が立ち込めるのを見た彼女は
自分のポッケにこっそりとしまっていたマッチを取り出した。
自分の頭の中から
アーサーやマシュー、アルフレッドとの記憶が流れ出していくのがわかる。
アーサーがどんな顔をしていたのか
どんな声をしていたのか
どんな性格だったのか
何が好きだったのかも分からなくなってきた。
黒い煙以外に、また大きな煙が立ちあがる。
遠くからダイナマイトが爆発し、岩が砕ける音が聞こえてくる。
きっと占い師がやったんだろう。
記憶の関連を消し去るために占い師を雇った彼女は
作戦が着々と進んでいることを悟った。
マシューは爆発の音で驚き、腰を抜かしている。
さらに彼女が待つそのマッチが何を意味しているのか、と怯えている。
『マシュー、聞いてね。…私に近づいたらダメ。この円の中に決して入らないで』
円を書いた木に炎をともし
それが消えぬように支えた。
「…。まさか死のうなんて思って無いですよね…」
『マシュー、何言ってるの?私もう消えちゃうんだよ。腕も片方もう無いのよ』
「じゃあ、なんで…火なんか、、」
『ごめんね。マシューには、私をあの人から遠ざけてもらう為の事しか教えられないな』
そう言ってAは砂に綴った文字を消さないように円の真ん中に立った。
ドガガガガッッとまた遠くで爆発が起きる。
足にガクガクと地響きが伝う。
マシューはぺたりと地べたに座り込んで居ると
海の水平線近くで
太く長い龍のような煙が見えた。
___あの方角、あの距離…。
そう、あそこは彼女の国の場所だ。
そこから煙が立ち込めている。
爆発音、あれはきっと彼女の国土が崩れ落ちていく音なのだ。
現に今
彼女の顔のは一筋のヒビが入っていく。
ぱらりぱらりと少しずつ
風に溶けるように消えていく彼女の体…。
*
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なつ子第2号@(*´ω`*)(プロフ) - ルーミラさん» コメント&祝電ありがとうございます(´;ω;`) わああああ涙する小説書けて幸せです(><) いえいえ!こちらこそご愛読ありがとうございました!!! (2018年5月13日 22時) (レス) id: 512c53c1af (このIDを非表示/違反報告)
ルーミラ(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても切なくて、集中して読んでいました!我慢していた涙が最後で出ちゃいましたw今回も素晴らしい作品をありがとうございました! (2018年5月13日 22時) (レス) id: d359785761 (このIDを非表示/違反報告)
なつ子(´∀`*)(プロフ) - 暴走少女@OIMさん» うわわわわああああコメントありがとうございます。゚(゚´Д`゚)゚。こんなにも更新遅くなってしまい申し訳ございません(泣)そしてこんな私の作品を読んで下さり、さらにコメントまで頂けるなんて幸せすぎます!! はい!テスト終わったら猛スピードで書きます(o^^o) (2018年2月5日 23時) (レス) id: 512c53c1af (このIDを非表示/違反報告)
暴走少女@OIM(プロフ) - 久しぶりの更新ご苦労様です!今日も楽しく読ませていただきました。これからも頑張って下さい!(^^*) (2018年2月4日 15時) (レス) id: c5b7e8e142 (このIDを非表示/違反報告)
なつ子(´∀`*)(プロフ) - 暴走少女@OIMさん» コメント、本当に本当にありがとうございますヽ(;▽;)ノ カナちゃんにキュンキュンできるように心がけたので嬉しいです!! (2017年9月8日 18時) (レス) id: 512c53c1af (このIDを非表示/違反報告)
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