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現実世界で、マシューはゆっくりと瞼を動かした。
自分の部屋では無い事と
月明かりに照らされている事を確認して息をついた。
まくらシーツに溶け込んだ涙は
少しだけ温もりを帯びていた。
「アルフレッド...?」
少し体を横に傾けるとそっくりな顔がそこにあった。
ベッドにうつ伏せた彼は可愛らしい寝顔でこちらを見ている。
起こすのは少々申し訳ないが
あまりにも喉が渇いたので、彼に頼む事にした。
「アルフレッド、ごめん、起きてくれないかい?」
「んー...もうちょっと...」
「あ、あの、起きてくれなきゃ結構困るんだけど...喉がかわいて、、」
軽く彼を揺らしても起きそうではなかった。
...諦めよう...。
メガネを外し忘れた彼のメガネを奪い
窓から見える景色でも伺おうと重い体を何とか動かす。
少し状態を起こせば
チラチラと通り過ぎる車が遠くで見えるくらい。
美しい夜景とは言い難いが、時間も時間なのだろう。
部屋の時計を探してみて見れば
日付が変わった直後だった。
これはアルフレッドもなかなか起きない訳だと
1人苦笑を見せた。
「兄弟、僕達似てるって」
そっくりな顔にそっと手を伸ばした。
「Aさんが言ってたよ。」
優しく彼の頬を撫でた。
「一緒のベッドに無理やり3人で入ってさ、子守唄歌ったよね」
涙が溢れた。
“大丈夫だよ、怖くないよ。お姉ちゃんがいるからね、安心して寝ていいよ。
怖かった事は忘れて良いよ、私が守るから大丈夫だよ。”
蘇る彼女の声。
「怖かったこと、本当に忘れられるかい?」
涙が伝う。止まりはしない。
「僕は無理だったよ...実際忘れていたとしても、怖かったものは嫌でも思い出しちゃうもんだよ」
アルフレッドの目尻に涙が浮かんだ。
...今君も、思い出してるんだろう?
喉は渇くのに
この涙は乾かないのは何故だろうか___。
*
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なつ子第2号@(*´ω`*)(プロフ) - ルーミラさん» コメント&祝電ありがとうございます(´;ω;`) わああああ涙する小説書けて幸せです(><) いえいえ!こちらこそご愛読ありがとうございました!!! (2018年5月13日 22時) (レス) id: 512c53c1af (このIDを非表示/違反報告)
ルーミラ(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても切なくて、集中して読んでいました!我慢していた涙が最後で出ちゃいましたw今回も素晴らしい作品をありがとうございました! (2018年5月13日 22時) (レス) id: d359785761 (このIDを非表示/違反報告)
なつ子(´∀`*)(プロフ) - 暴走少女@OIMさん» うわわわわああああコメントありがとうございます。゚(゚´Д`゚)゚。こんなにも更新遅くなってしまい申し訳ございません(泣)そしてこんな私の作品を読んで下さり、さらにコメントまで頂けるなんて幸せすぎます!! はい!テスト終わったら猛スピードで書きます(o^^o) (2018年2月5日 23時) (レス) id: 512c53c1af (このIDを非表示/違反報告)
暴走少女@OIM(プロフ) - 久しぶりの更新ご苦労様です!今日も楽しく読ませていただきました。これからも頑張って下さい!(^^*) (2018年2月4日 15時) (レス) id: c5b7e8e142 (このIDを非表示/違反報告)
なつ子(´∀`*)(プロフ) - 暴走少女@OIMさん» コメント、本当に本当にありがとうございますヽ(;▽;)ノ カナちゃんにキュンキュンできるように心がけたので嬉しいです!! (2017年9月8日 18時) (レス) id: 512c53c1af (このIDを非表示/違反報告)
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