振り向かせたい。26 ページ27
三ツ谷は私を優しく砂の上に下ろした。
濡れた足裏に砂が着いて気持ち悪い。
まじでどうやって帰るの、コレ…。
『……びしょびしょだね』
｢そうだな。どーやって帰るか…｣
なんであんなことしたんだろう、と今更ながら考えながら髪の毛を絞る。
服もまとわりついて気持ち悪い。唯一の救いは、黒い服なので透けたりはしないということだ。
『ねー、もう全身濡れたしさ。いっその事泳いだりしよーよ』
｢ダメ。マジで風邪ひくぞ｣
プクッと頬を膨らませる。
せっかくだから思いっきり遊びたいのに…。
でも三ツ谷の言うことはもっともなので、大人しく口を噤んだ。
そんな私に、三ツ谷は｢ンな不貞腐れるなって｣と笑いながら、ぽんと頭に手を置いた。
…ホントどこまでも優しいな、三ツ谷は。
｢…まぁこのまま帰るしかねェな｣
『ホントごめん』
結局びしょびしょのまま帰ることになった。
これ以外に方法はないので仕方がない。
ヤバい、寒くなってきた。
こんなに冷たい海水に濡れて、風に晒されていたのだから当然である。
｢寒いな。A、大丈夫？｣
『だいじょーぶ…』
一回ぶるっと震えてから、二人で歩き出した。
とりあえず靴を履ける状態ではないので、裸足のままである。
前を歩く三ツ谷は、｢でも、楽しかったな｣と呟いた。
こんなに濡れてて寒いのに？と思いながら三ツ谷を見やる。
前を歩いていた三ツ谷は、くるっと振り返って、それからにっと笑った。
｢今度はちゃんと泳ぎに来ような｣
『……うん！』
思わず三ツ谷に抱きついた。
だって、こんな滅茶苦茶なことしたのに三ツ谷怒んないし。
むしろまた来ようって誘ってくれるなんて、こんな完璧な男子いる？
うお、と言いながらも三ツ谷はしっかり私を受け止めた。
｢…どうした？｣
『うぅ…。三ツ谷やっぱり大好き』
千冬へ。ボディタッチを遥かに超えた行動を取りました、私。
それに加えて大好きも言いました。いつも言ってるけど。
三ツ谷は何も言わずに、私の髪をゆっくりと撫でた。
それが気持ち良くて目を閉じる。
でもやっぱり、大好きには応えてくれなかった。
その虚しさを誤魔化すように、ぎゅっと三ツ谷を抱きしめる。
三ツ谷はそのまま受け止めてくれた。その優しさにも涙が出そうになった。
_______________どうすれば君は、私の気持ちに応えてくれるの？
どうすれば三ツ谷は、私に振り向いてくれるのだろうか。
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ベル - ストーリーが好みすぎて辛いですww海に行った時すごくキュンキュンしました！！ (2022年3月5日 21時) (
レス) @page41 id: 57e8e1c27e (このIDを非表示/違反報告)
泡瀬 るり(プロフ) - るいさん» 最後まで読んで頂き、ありがとうございました！！そう言っていただけて嬉しいです！！ (2021年9月2日 7時) (レス) id: e8f1067ad3 (このIDを非表示/違反報告)
るい(プロフ) - 素敵すぎました…！きゅんきゅんしましたありがとうございます！ (2021年9月1日 23時) (レス) id: 4cd171caaf (このIDを非表示/違反報告)
泡瀬 るり(プロフ) - 苺ミルク飴さん» そう言っていただけて嬉しいです！書いたかいがありました……！長文ありがとうございます！！他作品もどうぞよろしくお願いします！ (2021年9月1日 7時) (レス) id: e8f1067ad3 (このIDを非表示/違反報告)
苺ミルク飴(プロフ) - 完結おめでとうございます！めっちゃドキドキしました…！特に最後の方の三ツ谷くんかっこよすぎてずっとにやけてました笑夢主ちゃんもすごく可愛くて、とても面白かったです！素敵な作品をありがとうございました！他の作品の更新等頑張ってください！応援してます！ (2021年8月31日 23時) (レス) id: 976df8db05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泡瀬 るり | 作成日時：2021年7月27日 23時
