辛いです、煉獄先生。【炎柱】

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Aside



『…離れなきゃ、とにかく離れなきゃ…!』


もう、頭にそれしか浮かばなかった。



______なんて情けない。



自分の幸せの為に、煉獄さんを不幸にさせてしまうところだった。

ここは鬼殺隊ではない。
令和の。高校だ。

昔と違い、世間の目、決まり、先生と生徒の暗黙のルール…。

気にする事は山ほどある。



(近づけたのが嬉しくて、前が見えなくなってしまった。
不甲斐ない、不甲斐ない！)


次の美術の授業で使う筆と絵の具を掴んで、私は廊下を飛び出した。


…と、その時。



『…わっ…!!』

?「ッとー！」



ドン、と誰かに衝突した。



『わ、す、すみません、』


上を見上げると、そこにはこれでもかというほど服を着崩した図体の大きい男がいた。


宇「おうおうおう〜？
優等生で有名の火宮じゃないか〜！

廊下を走るなんて、悪ガキだなァ〜？」


元音柱…改め美術の宇髄先生。

よりによって、この人に当たってしまったのか。

腕につけているピンクゴールドの腕時計をチラ見すると、現在二限まで残り1分。

『…〜！(やばい、やばいやばいやばい！このままじゃ遅れる！！)

す、すみません！！！すぐに美術室に向かうので今回だけは廊下を走ることを見逃してください〜ｯ!!!』

宇「その必要はねぇ！！」

『はい！？』

宇「俺が派手に自習にしてやった！！！」

『は…！？！？』


いやいや、勝手にも程がありすぎるだろう。

この前、芸術は爆発だとかなんだか言って
美術室をダイナマイトで破壊したばかりじゃないか。

…って、そんな場合ではない！

『自習だとしても、遅れてしまっては困りますので！では！』

一礼して立ち去ろうとするも、腕を掴まれて離れられない。

宇「お前に少し話があるんだよ火宮。少しこっちに来い！！」

『な、にするんですか！離して下さい！この人攫いが！！』

宇「そんなこと言うと、上弦の住む遊郭に連れてっちまうぞ？」

『な…』


上弦…？
宇髄先生は、もしかして、…

過去のことを…？？



宇「その様子じゃ、やっぱりお前もか！！
じゃあ尚更だ！！着いてこい！！！」

『わー！！！離せ〜！！！』

__結局力が叶わなかった私は、
宇髄先生に攫われてしまった。

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