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煉獄side
『…煉獄、先生?』
不思議そうに俺の顔を覗く火宮を見て、
はっと我に返る。
「…ん、ああ!うむ!よく合っているように見えるぞ!」
『やっぱりそうですよね!よし、じゃあ私、これでいきます!』
俺が首を縦に振ると、彼女は嬉しそうに竹刀を握り締めて笑った。
“杏寿郎”
「ん?どうかしたか?」
『え?何も言ってないですけど…先生こそどうかされましたか?』
「あ、いやいや、何でもない!ははは!」
“見て見ぬふりをするな、
思い出せ、煉獄杏寿郎”
_____何だ?
今度は俺に似た声が聞こえてくる。
…見て見ぬふりとはなんだ、
思い出せとは…一体何なんだ。
“よく聴け、耳を澄ませ、彼女の声を。
これ以上、彼女を哀しませるな。”
彼女の声を、聴け____?
『___先生!煉獄先生!大丈夫ですか?
ぼーっとしてるようですが…お疲れなら無理なさらないでください!もしあれなら、私、後日改めて此方へ伺いますから』
“煉獄さん!!死なないで…!!!私を1人にしないで!!!”
______繋がった。
この声だ。
先程の不思議な声も、
よく見るあの不可解な夢に出てくる、泣いている少女の声も。
「…いや、本当に大丈夫だ。心配をかけてしまって不甲斐ない!」
『いえいえ、大丈夫なら良いんです!』
ほっと胸を撫で下ろす彼女の姿に見覚えがあることを、確かに感じた。
学校では無い、もっと昔に、どこかで…。
「…駄目だ、やはり分からないな」
『…何かありましたか?』
「火宮、少しいいか」
『へっ…………?!』
俺は、彼女の手を取り
そしてじっくりと彼女の目を見た。
「……うむ。やはり綺麗な紅色の目をしている。」
『な、なななななな、、なんですか?!突然!!!』
彼女は驚き、手を振り払って畳に座り込んだ。
顔が紅葉のように真っ赤に染っている。
俺はしゃがみ、目線を合わせると
彼女が逸らした顔を両手でこちらに向けて言った。
「俺の顔を、よく見てほしい」
『ひぇっ………』
何がなんだかわからないという顔をしている。
でもやはり、この花のような可憐な声も、燃えるような赤い瞳も、不思議と見覚えがあるのだ。
「火宮、変なことを聞いてしまうが大丈夫だろうか」
『は、はい…!』
「昔、学校で出会うよりも前に
君と俺は、何処かで出逢ったことがないだろうか______」
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ひなた(プロフ) - コメント失礼します。語彙力がすごい上にとても話が面白いのでこの作品推しますよ!この作品大好きです。 (2023年1月10日 15時) (レス) @page9 id: 766649bc8e (このIDを非表示/違反報告)
靈菜(プロフ) - コメント失礼します!ほぼ毎日読ませて頂いてます!話の構成がとても上手ですごく憧れてます!どのような感じで考えているのか、良ければぜひ教えて下さい! (2021年10月2日 22時) (レス) @page2 id: b6a4af0785 (このIDを非表示/違反報告)
餅(プロフ) - ひかるさん» 合掌…!!?こちらこそ朝早く読んでくださって本当に嬉しいです!ありがとうございます! (2020年11月29日 8時) (レス) id: 55e2874e26 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - 朝から震えが止まりません・・・!更新ありがとうございます!(合掌) (2020年11月29日 8時) (レス) id: e49f586e8e (このIDを非表示/違反報告)
餅(プロフ) - ゆず@yuzuさん» そんな、感情移入してくださっていたなんて…光栄です…(泣)はい!更新頑張らせていただきます!これからもぜひよろしくお願いいたします! (2020年11月28日 13時) (レス) id: 55e2874e26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わらび餅 | 作成日時:2020年11月15日 9時