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Aside






『____お久しぶりです。槇寿郎さん』




久しぶりに会った槇寿郎さんの顔は
大正時代よりかは多少、血色が良いように感じた。



槇「ここだと身体が冷えるだろう。此方へ来なさい。」








彼に連れられるまま、私は屋敷の奥へと歩いていく。


彼の後をしばらく歩くと、ひとつの見覚えある部屋の前で立ち止まった。


槇「入りなさい」




『此処は…』




そこは、微かに酒の香りがした。
少し前まで、ここで呑んでいたのだろう。





槇「懐かしいか」


彼の問いかけに、私は一言、はいと答えた。





懐かしいです。

とても。




私は生前、最後にここに訪れた時のことを思い出した。









________



『槇寿郎さん!!!私の話を聞いてください!!!!!』


槇「うるさい!!!黙れ!









何が“炎柱になった“だ!!!!

死んだ杏寿郎の数合わせでたまたま埋め込まれただけだろう!!!」



ガシャン、という音とともに、
私目掛けて投げられてきた酒器が粉々に割れる。




『確かに、煉獄杏寿郎は死にました!
しかし、杏寿郎の意志は私達へ受け継がれています!!

たとえ、彼の肉体が滅びたとしても、心の炎は』


槇「何が心だ!!!心があって何になる!!!

心が鬼の首をはねるのか!?
バカバカしい!!!!!」

怒鳴り声をあげる彼を前にして
隣に座っている千寿郎君の身体は、小刻みに震えていた。

私はその震える手をぎゅっと強く握りしめる。





槇「大体、俺はお前を家族だとは一度も思ったことは無い!!!

何故お前はこの屋敷にいる!!煉獄家の血を引かぬ者が炎柱を務めるなど…炎の呼吸を継承出来るなど…あるわけないだろう!!!


お前は煉獄家の汚点だ!!!今すぐ出ていけ!!」



千「父上!そこまでにしてください!Aさんは、紛れもない、俺達の家族で」


槇「汚点はお前もだ!千寿郎!!!


煉獄の血を引く癖に剣術の才にも恵まれず、

杏寿郎の葬式が終わってもおなごのように何時までもめそめそと…」


『千寿郎君のことを悪く言わないでください!!!杏寿郎は…彼は…それだけ大きな存在だったんです!!』


槇「じゃあ何故死んだ!簡単な事だ!杏寿郎が弱いからだ!!」


声を荒立てる彼を前にして、
私は、頭の中で何かがプツッと切れる音がした。









『…汚点は…。汚点は…お前だ糞ジジイ!!!!!!』

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ひなた(プロフ) - コメント失礼します。語彙力がすごい上にとても話が面白いのでこの作品推しますよ!この作品大好きです。 (2023年1月10日 15時) (レス) @page9 id: 766649bc8e (このIDを非表示/違反報告)
靈菜(プロフ) - コメント失礼します!ほぼ毎日読ませて頂いてます!話の構成がとても上手ですごく憧れてます!どのような感じで考えているのか、良ければぜひ教えて下さい! (2021年10月2日 22時) (レス) @page2 id: b6a4af0785 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ひかるさん» 合掌…!!?こちらこそ朝早く読んでくださって本当に嬉しいです!ありがとうございます! (2020年11月29日 8時) (レス) id: 55e2874e26 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - 朝から震えが止まりません・・・!更新ありがとうございます!(合掌) (2020年11月29日 8時) (レス) id: e49f586e8e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ゆず@yuzuさん» そんな、感情移入してくださっていたなんて…光栄です…(泣)はい!更新頑張らせていただきます!これからもぜひよろしくお願いいたします! (2020年11月28日 13時) (レス) id: 55e2874e26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わらび餅 | 作成日時:2020年11月15日 9時

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