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Aside



「君さえ、もし良ければ…


俺の家の道場に、来てみないか?」




『____へ!?』




今度は、聞いてから認識するのに時間がかかってしまった。



煉獄家の、道場へ…?






ぽかんと開いた口が塞がらない私の表情を見て、煉獄さんは申し訳なさそうに笑う。



「ああ、良いんだ別に。変なこと言ってしま」
『行きたいです!むしろ入門したいくらい!!』



あ…また、理性より先に口が動いてしまった。





「本当か!?」


私の言葉を聞いて、彼は凄く嬉しそうな顔をする。




『はい!!逆によろしいんですか!?』

「ああ!!全然構わない!!むしろ助かる!!」



実は、今門下生が居なくなってしまって父がしょんぼりしているんだ、と彼は笑った。



(あー…

確かに槇寿郎さんの稽古、普通の人には耐えられないだろうなー。)


そんなことを考えていると、煉獄さんは胸ポケットからペンとメモ用紙を取りだし、スラスラと筆を動かす。





「家が分からないだろう。少し待っててくれ…。


…よし!火宮、手を出してくれ!」


『はい、!』



言われるがまま手を差し出すと、
煉獄さんは私の手を大きな手で蓋をして、にっと笑いかけた。

手が離れると、ひとつの小さな紙が置いてある。


『あ、あの、これって…』





「本当はこういう風に生徒に俺の住所を伝えるのは良くないだろうが、
まあ道場の門下生どうし…いや、俺は師範という立場になるのだろうか…。
まあ、こういう形なら大丈夫だろう!

今日の放課後にでも、暇だったら来てみてくれ!動き易い格好で来ることをおすすめする!」




師範_____そっか。師範か。

ふふ、懐かしい響き。




『分かりました!!!ありがとうございます!

“ 師範”!』


私がこう呼ぶと、煉獄さんは照れたように頭をかいた。



「はは、慣れないな、その呼ばれ方は。

さあ、急ごう!授業に遅れてしまうぞ!!」


『はい!!』







___私は、実は慣れているんですよ。師範。

それに、貴方の家も知っているんです。
私の第二の家でしたから…。


貴方と話すと、本当に喜びと切なさが交差しますね。


『でも、嬉しい』



その、小さくも特別な紙を握り締め、
私は教室へと急いだ。

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ひなた(プロフ) - コメント失礼します。語彙力がすごい上にとても話が面白いのでこの作品推しますよ!この作品大好きです。 (2023年1月10日 15時) (レス) @page9 id: 766649bc8e (このIDを非表示/違反報告)
靈菜(プロフ) - コメント失礼します!ほぼ毎日読ませて頂いてます!話の構成がとても上手ですごく憧れてます!どのような感じで考えているのか、良ければぜひ教えて下さい! (2021年10月2日 22時) (レス) @page2 id: b6a4af0785 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ひかるさん» 合掌…!!?こちらこそ朝早く読んでくださって本当に嬉しいです!ありがとうございます! (2020年11月29日 8時) (レス) id: 55e2874e26 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - 朝から震えが止まりません・・・!更新ありがとうございます!(合掌) (2020年11月29日 8時) (レス) id: e49f586e8e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ゆず@yuzuさん» そんな、感情移入してくださっていたなんて…光栄です…(泣)はい!更新頑張らせていただきます!これからもぜひよろしくお願いいたします! (2020年11月28日 13時) (レス) id: 55e2874e26 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わらび餅 | 作成日時:2020年11月15日 9時

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