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朝目が覚めると彼はもう居ない





いつもロードワークに行っている。ひんやりとしたベッドを触りリビングへ行くとサラダが置いてある。





『……美味しそう』




横に置いてある手紙には"これ食っとけ"と書いてある。これだから彼から抜け出せない。変に優しいから。こんなのみんな落ちてしまうのではないか。私が変なんじゃない。彼がずるいのだ。





モシャモシャとサラダとコーンフレークを食べて紅茶を飲み干す。のんびりなんてしてられないんだ。今日は朝からバイトで昼過ぎから大学があって夜もまたバイトだ。

一人暮らしゆえ金欠に悩まされいるーという訳でもなくて、ただただ将来のために金を貯めているだけ。

夜ご飯とかは凛がなんか持ってきてくれるから食費が浮いている。昼ごはんは飲食店のバイトだから無料で食べれるのだ。店長が優しくてラッキー



急いで身支度を整え誰もいない家に声をかける




『いってきまーす』




ガチャ





ドアを開けるとちょうどロードワーク帰りの凛がいた。





『おはよ』





「あぁおはよ」





『じゃーね』





「おう……バイトか?」







『ん!そうだよー』





「頑張れよ」




凛が優しく笑って私の頭を撫でるから思わず固まってしまった





「……なんだよ」





『いや……今日槍でも降るのかなって』






「は?てめぇは馬鹿かよ」





『え!酷い!だって凛が優しいじゃん!』




「あ?俺はいつでも優しいだろ」





そう言いながらさっきとは打って変わって頭をギチギチと掴む。





『いたたたた!潰れる、頭が潰れるって!』



必死の抵抗により凛の頭潰しから抜け出すことに成功した。また潰される予感がしたので急いで距離を取ってエレベーターへ向かう





「ふん」





『んもう酷いなージャイアンめ!』





「あ?」





『あー怖い怖いー!いってきまーす』




こういうのは逃げるが勝ちなのだ。エレベーターに入る直前後ろをちらっと振り返ると







「いってらっしゃい




  頑張れよ」






微笑んでいる彼が見えた。





『ん!』





エレベーターに急いで乗り込んで閉のボタンを連打する



閉じた扉を確認してから呼吸をする。心臓がドキドキして顔に熱が籠ってる。きっと今の私の顔は真っ赤っかだ。今にも噴火しそう。


そう。何を隠そう私は──────





糸師 凛のことが好きなのだ。

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作者名:macaron | 作成日時:2023年4月2日 21時

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