【ハイキュー】お姫様になりたい？必要ないのにね【青葉城西】

Queen's game 42 ページ47

夜久side



初見の印象から最悪だった

青城の人は真面目そうなのが多いなって思っていたところにこの子だ。バスから降りて助けてもらってるなんて意味がわからない、高校生だろ。それをよしとしてる及川くんにも思うところはあるけど…

だから黒尾に言ってみたんだ、青城のマネは一人で十分じゃないかって。いやその結果が音駒のヘルプに入って、挙句倒れるなんてことになるとは思ってなかったけどな


確かにこの子も良くない点はあったと思うけど…あそこで青城のもう一人の子が言っていたことがわからなかったのは俺の他にもいただろう。女王様って？作戦って？

なにもわからないけど、あの二人が対立していることはよくわかる。それでこの子が負けたことも




『……あの、夜久さん？』



夜「え？…あ、ごめん…。考え事してた。…それで、合宿に慣れてないってどういうこと？』




この子の手際の良さには感心している。前回も倒れはしたものの、この子の残り作業はほとんどなかった。それこそボトルの洗浄と最終戦績のまとめだけ

それが示すのは、過去からマネをしていた可能性があるってことだ。そしてこの物言いからもマネをしていたことは間違い無いのに…




『私、中学生の時に部活の先輩にいじめられてて。そのせいで一回しか合宿行ってないんですよね』



夜「先輩に、いじめられてて？待って、それって誰に？ってかそんな合宿も行けないくらいに…？」



『はい、マネージャーの先輩だったんですけど……そこから部内に伝染しちゃって。一年の時も怖くて合宿行けなかったんで三年の一回だけです』




部内いじめって……聞いたことぐらいはあるけど、こんな身近に起こりうるものなんて知らなかった…気にしていないように話しているのに、微かに震えているこの子の手を見て気づいた

まだこの子は先輩に対しての恐怖心が拭えていないことを

それでも、俺に話そうとしている。言い訳に見えるとわかっていながらも、自分の嫌な記憶をも引っ張り出して話そうと




『まぁ、言い訳にしてちゃいけないんで。同じ一年の仁花ちゃんも似たような境遇なんですし、がんばりま…』



夜「別に、そこまでがんばらなくても…いいよ。もっと…のんびりでもいいよ」




……い、勢いで抱きしめちゃったんだけど！え、待て、誰も見てないよな！？




『……夜久さんの言う通り、ですけど…やっぱり…』




悲しそうな彼女の顔

…俺なんかの言葉じゃ、届かないのかよ…

Queen's game 43→←Queen's game 41

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す