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国見side
後ろから呼び止めてきたのは金田一のクラスの女の子。顔が真っ赤で、なんとなく察してしまった
気づけば金田一はいなくなっていた
「…あ、あの、…その……」
国「……できれば早く言ってくれると助かるんだけど」
「っあ、ごめ…」
言い方がキツイように見えるけど、それもそうだろう
金田一のクラスとはいえ、俺はこの子のことをほとんど見たことがない。別に金田一のクラスに行くこともほとんどないし、この子が来ることはそもそもなかったはず
それなのにこの子が今から言うであろうこともわかってしまう
「…その…す、好きなんです…!!つ、付き合ってもらえませんか…?」
国「…無理。俺、君のこと知らないし。それに__」
それに、なんだ?
今なんて言おうとしたんだ、俺は
俺には、もう決めた人がいる___
そう、言おうとしていた
「…や、やっぱりそうだよね…!!ごめ、ごめんね、そうだよね!」
国「そう、だよねって…わかりきってたのに君告白してきたの?」
「だって、今の国見君は前の国見君と違うから…行けるはずだって、言われて…」
国「…俺、前と違うんだ。具体的に教えてよ」
「は…?…ほんとになんか変だね」
告白も終わって吹っ切れたのか、俺に呆れたような顔を見せてくる
なんだよ、俺は自分で気づけないのがおかしいくらい変だっていうのか
目の前の女の子は深いため息をつくと、口を開いた
「東雲さんは、どうしたの?」
……何言ってんだお前、と言いたかった。言おうと思っていた。それなのに、
__言葉が出ない
国「…し、東雲さんがなんて…?意味がわかんないんだけど」
「意味が分かんないのはこっちだよ。毎日東雲さんにはりついて、何か手を出してこようとするならにらみを利かせて東雲さんのこと守り通して」
国「俺が、東雲さんに張り付いて…?」
「…本当に頭でも打ったの?…まぁ、ほぼ振られると思ってたからいいけどさぁ…。マジで国見君おかしいよ、本当に。なんかあっておかしくなってんなら絶対国見君にもものすごい負担だと思うし。…振られた女からの戯言だと思って流してくれてもいいけどさあ」
国「…いや、…助かった。俺は、…俺は何かが変わっているという自覚をもってなかった。…お前のおかげで気づけたからいいよ。じゃあね、振られた人さん」
初めて見えた気がする俺自身への違和感
…俺は、見えもしない俺のなくしたものを探し続けている
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作者名:征狐 | 作成日時:2023年5月8日 2時