無口少年は鬼の世界へ【鬼滅の刃】

長男が1人 ページ3

今から最終選別、ドキドキと緊張と不安で張り裂けそうな心臓を押さえ込み周りを見渡す。









泣き喚いている人に、怖い顔の人。
笑っている女の子…









ドクン









っなんだ、これ…









不思議な格好をした男の人を見た瞬間今までとは比にならないくらい心臓が高鳴る。









周りとは違う雰囲気を持った男の人に惹かれるように近より話しかける。









変わった格好だね、と初めて見た時に思ったことを伝えると不満そうな匂いがする。









怒らせてしまったか、と慌てて顔を見るけど声をかけた時と変わらず真顔だった。
表情に出にくいのか?








未だにする不満げな匂いに胸がキュンと高鳴る。






かわい、









そうだ、名前はなんて言うんだろうか。






不自然のないように自分の名を名乗りそれとなく名前を聞いてみる。







…彼はAというのか。
忘れないように何度も何度も頭の中で繰り返す。









それによろしくと言ってくれた。
にやけそうな口元をなんとか抑え握手を求めるように右手を差し出す。









少したじろぐような匂いがした後おずおずと右手を差し出してきた。









Aは表情が変わらないが俺なら匂いでわかる、その事実が溜まらなく嬉しい。









俺ならAをわかってあげられる。









他の人なら愛嬌が無いと去っていってしまうだろう。こんなにも可愛いく愛おしいのに。






まあAの可愛さを知ってるのは俺だけでいいよな。








あれ、Aもしかして刀を持っていないのか?








…Aの育手は誰だ、丸腰で最終選別に向かわせるだなんて。






ふつふつと怒りが募っていく。








｢…炭治郎｣









その声にバッと顔を上げるとAが見ていてくれと言うように1度俺と目を合わせ右手を前につきだす。








次の瞬間Aの手の中に刀の柄が収まっていた。







何が起こった、Aは何をしたんだ?







知りたい、知りたい知りたい知りたい知りたい。








Aの事を、もっと







Aが口を開こうとすると同時に最終選別の説明が始まる。









まあこれから時間はたっぷりあるし。
ゆっくりAの事を知ってこう。









｢Aは俺が守るからな｣

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