145 - 高3 ページ6
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県内でも有名な進学校であるうちの高校。
気付いたら季節は冬から春を過ぎて夏になり、私達は受験を控えた高校3年生になっていた。
3年になると必ず付いて回る“受験”という言葉。
塾や勉強で皆忙しくなり、部活動はもう引退したけど今までより一緒にいる時間は減った。
私がクラスで仲良くしている紗奈達は成績優秀で、国立の難易度の高い学部を狙っているらしくて、これまで通り遊びに誘うのは躊躇するようになった…。
まぁ大ちゃんは例外かな。
進路決まっているようなそうじゃないような…何故かごまかされる。
大人の事情、なんて言われて教えてくれない。
昼休みは唯一これまで通り皆揃って過ごせる貴重な時間。
侑李「昼間は学校で夜は塾…あっという間に1日終わるから気付いたら受験になりそう…」
無理せず身の丈に合った大学に行こうとしている私には分かってあげられない焦燥感に駆られている皆。
慧「うぁ〜こんな時にも“受験”って言わないでよ〜。まだだいぶ先だから！！」
慧くんは連日寝不足みたいで、2年の時より授業中寝ていることが多くなった。
紗奈「いいよね〜慧様は。こないだA判定だったんでしょ〜？」
文武両道の紗奈はスポーツ推薦かと思いきや、そんな道は選ぶ気がないらしく、本人曰く、勉強の虫になっているとか。
でも模試の判定が悪かったらしくて最近不機嫌。
2年の時は学校行事も熱心にやっていたのに…もっも遊んでおけば良かったなぁ…なんて呑気に懐かしんだ。
？「大貴〜」
教室の入口から大ちゃんに声がかかった。
誰か…なんて確認しなくても分かる。
遥香「コンビニ行きたいから一緒に行こ！」
大貴「え〜…クラスのやつと行きゃいいじゃん。そんなに俺と行きたいのかよ〜」
遥香「そう、行きたいのです！！レッツゴー！」
2年生の頃は遥香ちゃんに対して嫌悪感全開で接していた大ちゃん。
半年以上経ったらいつのまにか打ち解けていて、同じ学年なのに“可愛い妹”って感じで接している。
それを見て心が痛まない…と言ったら嘘になるけど、慣れてしまい気にならなくなっていた。慣れって恐ろしい…。
2人が一緒にいるのを見るたびに怒っていた紗奈も基本的には何も言わなくなっていた。
今だって、ただ大ちゃんに冷たい視線を浴びせるだけ。
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作者名：もちもち
| 作成日時：2019年8月19日 20時
