162 - 高3 ページ23
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もう…この恋ともさよならしなきゃいけないんだ…。
目の前にいる好きな人に思い切り抱きついた。
これで最後だから…これで……。
肩に顔を埋めると、苦しいくらい強く抱きしめられた。
お互いを抱き枕にして寝てた子供の頃とはもう違う。
身長は数センチしか変わらないのに、身体つきや声はあの頃とは全く違う。
大人の男性に成長していく幼馴染を肌で感じた。
大貴「新しい環境で俺や知念がいなくて辛くなったら…抱え込まずに連絡しろよ」
「大ちゃんには連絡しない。彼氏出来るまで会わないって約束……守るもん」
大貴「ははは…そうだったな」
そう言って私を身体から離すと、私の片方の手を両手で包み込んだ。
大貴「じゃあそれとは別に…俺との約束。もし…他に好きな人が出来たら……これ、返しに来て」
そう言って手に何かを握らされた。
手を開いてみると、ボタンらしきものがあった。
大貴「俺のブレザーの第2ボタン。後輩に取られる前にちぎった。それ俺だと思って持ってれば寂しくないでしょ?」
「学ランじゃないんだから…第2ボタンとか…関係ないでしょ…」
照れ隠しに可愛くないこと言っちゃった。
本当は嬉しくて…また泣きそうで…気持ちをごまかす為の発言。
大貴「細かいことはいいの!…そういうのは気持ちの問題だから。……ねぇ…約束だよ」
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約束……6年経った今でもはっきり覚えてる。
〈大貴「傍にいられない……俺の代わりだから」〉
〈大貴「他のやつ好きになったら、要らなくなるでしょ?」〉
〈大貴「だから…その時には返しに来て。俺とはさよならだから」〉
大ちゃん……分かっててやったの?
他の人を好きになるなんて……出来るわけない。
それから春になって…
好きでもない人と付き合ってみたけど……当然続かなかった……。
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作者名:もちもち | 作成日時:2019年8月19日 20時