142 - 高2 Valentine ページ3
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紗奈「あれ？大ちゃんの分ないの？」
今日はバレンタイン。 教室にはチョコレートの香りが充満している。
毎年大量のチョコを受け取って、サンタのように袋いっぱい持ち帰ることになる慧くん達。
ハロウィンの時にも見た光景。また女子に囲まれている慧くんと大ちゃん。
ちーちゃんもかなりの量を貰うんだけどすごく嫌そうで…私や紗奈の所にそれを持ってくるから困るんだよね…。
私は毎年大ちゃんとちーちゃんにだけチョコを用意している。かれこれ10年近く。
料理音痴の私は愛情こもった手作りではなく、市販のものを買うから、大ちゃんからいつも小言を言われてた。
ちーちゃんに用意していたチョコを渡したら、一緒に食べよ、と言われその場で食べていた。
見た目は義理っぽいけど、内心ドキドキしながら毎年渡している大ちゃんへのチョコは鞄の底で出番を待っている。
…後で食べるか、誰かにあげちゃおう。
前日まで渡そうと思っていたのに、今日になってなんだかそれはいけない気がした。
侑李「もしかして…遥香ちゃんに遠慮してる？」
大ちゃんと遥香ちゃんの関係は続いていて、登下校一緒だったり、休みの日も一緒にいることがあるみたい。
大ちゃんは敢えて包み隠さずに話してくれるんだけど、それを紗奈が怒るんだよね。最近は私が率先してなだめている。
私がなだめに入ると泣きそうな顔で大人しくなる紗奈。
付き合っているわけじゃない…そう言い聞かせてる。
大ちゃんからそう説明を受けたし、人に言いづらい事情も教えてくれたから。その関係にむやみに口出しは出来ない。
それは長年一緒にいるちーちゃんも同じ。
侑李「僕にはあの女に弱み握られて遊ばれてるようにしか見えないけど…」
ちょっと色々あって精神的に支えないといけないんだ、と皆に説明している大ちゃん。
好きでいちゃダメ…と言われた私が、今気持ちをぶつけ続けるようなことをしても、たぶん迷惑でしかない。
紗奈とちーちゃんと仲良くチョコを食べていたら、遠くで女子に囲まれる大ちゃんと目が合う。
自分自身を指差して口パクでなんか言ってる。
「お・え・お・あ」と口が動いて首を傾げた。
……たぶん「俺のは？」だと思う。
「遥香ちゃんから貰えるでしょ…ばか」
大ちゃんには聞こえないくらいのボリュームで呟いた本心。
紗奈とちーちゃんが目を見合わせて肩をすくませて、やれやれ…、て苦笑いした。
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作者名：もちもち
| 作成日時：2019年8月19日 20時
