157 - 高3 卒業式 ページ18
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大ちゃんがこっちに行ったから…というわけじゃないけど、ふらふらとD〜F組の教室がある棟まで1人で歩いてきた。
涼介「お、Aちゃん！写真撮ろ！」
各教室の様子を覗いていたら、運良くF組の山田くんと遭遇した。
彼の姿を見ると、ブレザーもネクタイも身に付けて無くて、おそらく大ちゃん同様に女子に取られたんだと察した。
涼介「あっという間の3年間だったね。1年の時だけじゃなくて2年からAちゃんと同じクラスが良かったなー」
いじけたように口を尖らせた後、にこっと爽やかな笑顔を向けた。
大貴「あ、A！」
山田くんと写真を撮り終わった後話していたら、D組から出てきた大ちゃんに話しかけられた。
大貴「メッセージ見た？紗奈が『集まって写真撮ろ』って。知念は先に行ったから俺らも行こうぜ」
「あ、本当だメッセージ来てる。行く行く」
山田くんとさよならをして、教室に荷物を取りに戻る途中、人気のない渡り廊下で大ちゃんが急に立ち止まった。
大貴「Aさ……」
妙に改まった雰囲気を出しているので、何を言われるのかと緊張が走る。
大貴「今俺が『実はAのことずっと好きだった』て言ったら………どうする？」
ほんの一瞬、心臓が飛び跳ねた。
これまで、もしかしたら……て思ったことはあった…。
でも……期待するだけ傷付く…
「……そんなの信じない。どうせズルズル片想いしてた惨めな“幼馴染”への慰めでしょ〜？」
目をぎゅっと瞑った大ちゃん。
大貴「……ぬぁ〜バレてるかぁ〜！…ははっ！ごめんごめん」
ほら行くぞ…とまた前を歩き始めた大ちゃん。
こんな調子でからかってくるのにはもう慣れた。
敢えて私が傷付かないように…暗くならないようにおちょくっているんだよね。分かってるよ。
「私はずっと…好きだった」
……ぎりぎり聞こえないくらいの大きさで呟いた。
大ちゃんの足が一瞬止まる。
大貴「俺だって……」
そう聞こえた気がしたけど、独り言のように呟いたからうまく聞き取れなかった。
大貴「紗奈が寂しくて泣きだす前に行こうぜ！」
泣いていた紗奈の顔を思い出して少し吹き出した。
手招きする大ちゃんと一緒に大切な友達の元へ走った。
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作者名：もちもち
| 作成日時：2019年8月19日 20時
