153 - Daiki Side ページ14
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- 大貴side
「うぅ…さすがにきつい…知念助けてよ〜」
侑李「やだ。大貴が連れて帰ってちゃんと話さないと意味ないでしょ」
「いや……いま一時的におんぶ交代してって言ってるだけだし!」
花火の丘で寝た可愛い酔っ払いを背負って、近くの道路まで歩いた。
久しぶりの再会だったのに、思い込みとお酒のせいで俺が来たことすら気付かなかったA。
「…さすがにタクシー呼ぼうぜ。このままだと落とすわ」
ドラマとか漫画みたいに女性を家まで運ぶ…なんて絶対に無理。
偶然見つけた神社近くのバス停ベンチで休憩した。
高校卒業してから学生時代の写真を見るたびに、蓋をしたはずの気持ちが再燃しそうになった。
でも気付かぬ振りをした。
卒業から2年くらい経って、Aの方から会いたいという連絡が来た。
彼氏が出来たのかと思ったらそういうわけじゃなくて…
その頃俺はもう美波とこっそり交際していたけど、Aと会うことを咎められたりしないし、普通にご飯を食べに行く仲になった。
きっと美波はその頃から俺の気持ちに気付いてたんだよな。
学生時代の恋を拗らせて、大人になってから不倫した父親のことを思い出す…。
父親と似たような過ちを犯している自分は最低だ。
美波と知念に背中を押されて、長年無視し続けたこの気持ちに向き合うことにした。
隣でタクシーを呼ぶ為に電話をしていた知念を見た。
「知念……ありがと」
侑李「まぁ来るまでしばらくかかりそうだけどね」
「ちげぇよ、タクシーのことじゃなくて」
侑李「わかってる」
驚いた俺の顔をじっと見て…ふっと鼻で笑って視線を外した。
侑李「……わかってるよ、何言いたいのか。何年一緒にいると思ってんの」
「ふふっ……俺は良い幼馴染を持ったな」
はいはい…なんて呆れ気味に流すけど、こういう時本当は喜んでるんだよね。
侑李「…可哀想だからもう泣かせないでよね」
知念は視線は前に向けたまま、飲みかけの缶チューハイを仰いだ。
空を見上げたら満月が出てることに気付いた。
月が綺麗…ね。
もうあんなキザで回りくどいことは言わない。
直接伝える。
ずっと気付いてた……
この気持ちが恋だって…
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作者名:もちもち | 作成日時:2019年8月19日 20時