008 - わざとだよ ページ9
.
慧「大ちゃんとは最近どうよ？」
ジュースを奢ってくれた慧先輩と学食でお姉ちゃんを待っていた。
「いや、どうって……それは先輩の彼女であるお姉ちゃんに聞いてください」
不貞腐れたように私がそう言うと、ふっ、と鼻で笑った慧先輩。
いじわる……。勘が鋭い先輩は、お姉ちゃん達が付き合い出す前から私の気持ちに気付いていた。
慧「大ちゃん自身の事じゃなくてさぁ……」
私の正面に座って頬杖ついてる慧先輩は、こちらの心を全て見透かしているよう。
私は周りを見回してから小声で話しかけた。
「お姉ちゃんと付き合ってるのに私の部屋に平気で遊びに来るんです。あの人おかしいんです」
大ちゃんの親友である慧先輩に相談しちゃってる私。
慧先輩が以前に「俺はAちゃんの恋を全力で応援するからなんでも言ってね〜」なんて言ったからだ。
慧「ふーん……困った人だね〜」
「お姉ちゃんがいるのに……。あのふたり……真剣に付き合ってるのかなってたまに思うんです」
私の話を聞きながら目を閉じて肩を揺らして笑っている先輩。
笑いを堪えようとして堪えきれていない感じ。
慧「ふふ、Aちゃんってお姉ちゃんそっくりだよね……」
私の方に身を乗り出してきた。
慧「唇の形もそっくり。……柔らかそう」
妖艶な瞳で私の口元を見つめて小声で囁く。人の多い学食で私にだけ届いたその声。
細くて綺麗な指で私の下唇をツゥー、となぞった。
全身がぞくりと粟立つ。後ろに下がればいいのに恐怖で身体が動かない。
まさに“蛇に睨まれた蛙”状態。
「……せん…ぱい？」
慧「ふふっ……で？なんの話だっけ？」
私の顎を上に持ち上げて更に顔を近づけた……くっつきそうなくらいに。
「っ……」
暇潰しに遊んでいるような先輩の素振り。
こんなことで心臓が早くなる私はまだ子供なのかな。
？「おいこら。…何やってんの」
聞き覚えのある声が聞こえたと思ったら、パコッ、と軽い音が鳴って、目の前の先輩の頭が少し揺れた。
慧「いってぇ………」
頭を抱え込んでうずくまる慧先輩。どうやら誰かに叩かれたみたい。
声のした方を振り向くと、そこにいたのは丸めたパンフレットのような物を手にした大ちゃんと、呆れ顔のお姉ちゃん。
美咲「ごめんごめん、遅くなっちゃった」
.
009 - やけに下手な嘘→←007 - 傘が無い、鍵も無い
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 465人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「有岡大貴」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もちもち(プロフ) - くれはさん» コメント有難う御座います。涙出そうなくらい嬉して執筆の励みになります！今後も楽しんで頂けるような作品を書けるように頑張ります(^ ^) (2019年9月8日 1時) (
レス) id: e43ac0a964 (このIDを非表示/違反報告)
くれは(プロフ) - 「雲の切れ間から」からもちもちさんの作品を読んでいます。もちもちさんが描く世界観や設定が本当に大好きで夢中になって読んでいます。これからも応援しています！ (2019年9月8日 1時) (レス) id: 2527cc3178 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - りおさん» 18歳未満の方にも楽しんで頂けるように意図的にページを分離している為、それを避けたいのです。作者都合で申し訳ありません。 ですが表示されず見れないのは悲しいです。マイページのR18コンテンツフィルタの設定はされてますか？ (2019年9月5日 5時) (レス) id: e43ac0a964 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - りおさん» コメント有難う御座います、大変嬉しいです。長文失礼します。 大人編へのリンクですが、貼りたい気持ちは山々ですが、占ツクのルール上、当ページも年齢制限ページに設定しなければならなくなります。 (2019年9月5日 5時) (レス) id: e43ac0a964 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - こんばんわ。いつも楽しんで読ませて頂いています(^^) 大人編が表示されないのですが次の更新の時で構いませんのでよければリンクを貼って頂きたいです(TT) (2019年9月5日 2時) (レス) id: ee188c657b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もちもち
| 作成日時：2019年9月1日 11時
