194 - 聞き取れなかった言葉 ページ49
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こうして2人きりの時に問い詰めても彼は口を割らない。
そんなに大切?仕事で知り得たことを口外しないことの重要性が私には分からない。
「じゃあ……さっき駅に向かう途中に言ってたのは?」
何を訊かれても言わないスタンスだった彼が、その問いには目を見開いた。茶色の髪を掻いてなぜか気まずそうに下唇を噛む。
大貴「あ〜、それ……訊き返しちゃう?」
「うん…訊く」
手の甲を口に当てて視線を泳がせるから、そんなに変なことを言ったのかなぁ…って彼の目をじっと見つめて続きを待つ私。
(大貴「最初は適当にきっかけ作って近付いたけど、騙すつもりはなかったんだ。 俺がAのこと…ーーー」)
大貴「ーー …好きになったから言い出せなかった」
「っ…」
言い終わった大貴くんが耳まで真っ赤になったのが、薄暗いこの場所でも分かった。
大貴「Aのことが知りたくて近付いた時は下心はなかった」
「うん」
大貴「就活で悩んでたAにこのタイミングで全部話しちゃったら、余計なストレスがかかると思って……」
そういえば、私が就活で悩んでた時期に嫌な顔一つしないで親身になって聞いてくれてたっけ。
内定が決まった時は本当に喜んでくれたよね。
大貴「『内定もらった』って聞いた時、話すなら今だって思った。でもその時にはもう……俺がこの関係を終わらせたくなくなってた」
ははっ…、って空笑いした大貴くん。
澄んでいる綺麗な瞳がいつも以上に水分を含んでて、そんな辛そうに笑う必要なんてない。
「終わらせることないよ…っ、このままずっと一緒に、」
大貴「俺と関わらない方が幸せになれるから」
「なんでっ…どうしてそんなこと決めつけるの……?」
大貴「そうゆうもんなの」
「決めつけてばっかり…、好きになっちゃいけない人なんていない。 関わらない方が幸せ? 大貴くんは……そんな人じゃないよ」
大貴「……A」
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もちもち(プロフ) - 有岡担さん» 『雲の切れ間から』シリーズで題名あってますよ♪ 続編の方に感想コメント下さった方ですよね^ ^ 有難う御座います、頑張ります! (2020年6月24日 8時) (レス) id: e672c225a3 (このIDを非表示/違反報告)
有岡担 - 雲の切れ間からというお話から読んでます!題名あってますか…?間違ってたら申し訳ないです!大人編も読みました。どちらも面白かったです!更新楽しみに待ってます!頑張ってください。 (2020年6月24日 2時) (レス) id: a06e75bb6c (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - なーさん» ありがとうございます!大丈夫です♪ ぜひフォローしてやって下さい^_^ (2020年6月23日 8時) (レス) id: e672c225a3 (このIDを非表示/違反報告)
なー - 最近読み始めました!Twitterは鍵垢(閲覧用)のアカウントでも、フォローしてもいいでしょうか? (2020年6月22日 19時) (レス) id: 6d51b7543f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちもち | 作成日時:2020年5月22日 23時