始まりを君に 4th - Daiki.A

185 - お父さんとの関係 ページ40

.



私の問いかけに大貴くんは動揺の色を1ミリも見せなくて、キーホルダーを見るその顔にはなんの感情もなかった。



大貴「依頼をもらったんだ」

「依頼？ お父さんから？」

大貴「警察に勤めてたのは知ってるよな？」

「刑事事件を担当してるってことだけ、なんとなく…」

大貴「ある事件の捜査で俺達と知り合ったんだ。それでたまたまこれを預かった」

「へぇ……」



預かる……
どうしてキーホルダーを？


それに、警察が探偵を頼ることってあるんだ。


説明されても首をかしげることばかり。 持っていたグラスの中にある氷がカランと音を立てて動いた。



「ど、どんな捜査？ お父さんとなに調べてたの？」

侑李「気になるよね……でも細かいことは言えないんだ。 仕事上知り得たことや、依頼人のことはベラベラと話せない。 君みたいな依頼人の家族でも」

「そっか……じゃあ、やっぱり2人からも何も教えてもらえないんだ」

大貴・侑李「「え？」」





きっとそうだろうな…って思ってたんだ。





お父さんが事故で亡くなった時もそう…












「警察も…なんにも教えてくれなかった ーーー








事故で亡くなりました…って。
突然警察から家に電話があった。


でも、その亡骸を私達家族は見ることが出来なかった。






警察の説明は当時の中学生だった私にはよく分からなくて、お母さんも『機密事項を含むから詳しくは話せない』って言われたらしい。


行政解剖の後、火葬や諸々の手続きも、本来遺族がやるはずなのにお母さんじゃなくて警察側が手配した、って。


おかしいことばっかりだ、って。お母さんはその時すごくイライラしてた。悲しいのに怒りも湧いて荒れてた。


私達がようやくお父さんに会えたのは
骨壷に収まった状態で帰ってきてからのこと…



.

186 - 辛かった5年間→←184 - 汚れたキーホルダー - 侑李side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す