182 - 弱ってた心 ページ37
.
電話の向こうにいる彼の表情は見えなくて、妙な間があったように感じた。
大貴『なんでって…………ほら、雷ダメな子って結構いるじゃん』
「そうゆう一般論じゃなくて、」
大貴『なぁ元気だった?』
このままだと話を逸らされる。
…そう思ったのに私はやっぱり彼に弱い。
「元気だったよ、それより、あのっ」
大貴『良かった、会えない間ずっと心配してたんだ』
「っ!!」
受話口から聞こえる優しくて落ち着いた好きな人の声。これは彼の話術なんだ、って分かってるのに…
音信不通で不安だった心は、思ってる以上に弱ってたみたい。
「どうしてなかなか連絡くれなかったの……もう…会えないかと思った……っ」
大貴『ごめん』
あのキーホルダーをなぜ持ってるの?
あなたは一体誰?
お父さんを知ってるの?
問い詰めるつもりだったのに…
大貴『あれ? 泣いてんの?』
「泣いてないっ!!」
また空が光って大きな雷の音が鳴り響いた。
「っー!!」
目を瞑って、空いてる手で片方の耳を塞ぎながら俯く。直後に、ぽん…と頭に軽い感触。
大貴「『ほら、…泣いてた』」
受話口と、目の前と、二重に聞こえてきた声。
顔を上げると、大貴くんが立っていた。
「っ……」
会いたかった……って。
しゃくりあげながら、上擦った可愛くない声で抱きついた。
大貴くんは何も言ってくれなかったけど、
優しく抱き締め返してくれた。
あの日もそうだった。
泣いてた私を受け入れてくれて
傍にいてくれた彼と、目の前の人の姿が重なる。
ん?って涙目で見上げた私に向けた澄んだ瞳。
「“だいき”くん…」
大貴「どうした?」
もっと知りたい。好きになりたい。
彼が傍にいてくれると思うと
不思議と雷は怖く感じなかった。
.
183 - 分からない奴 - 侑李side→←181 - 苦手なもの
365人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もちもち(プロフ) - 有岡担さん» 『雲の切れ間から』シリーズで題名あってますよ♪ 続編の方に感想コメント下さった方ですよね^ ^ 有難う御座います、頑張ります! (2020年6月24日 8時) (レス) id: e672c225a3 (このIDを非表示/違反報告)
有岡担 - 雲の切れ間からというお話から読んでます!題名あってますか…?間違ってたら申し訳ないです!大人編も読みました。どちらも面白かったです!更新楽しみに待ってます!頑張ってください。 (2020年6月24日 2時) (レス) id: a06e75bb6c (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - なーさん» ありがとうございます!大丈夫です♪ ぜひフォローしてやって下さい^_^ (2020年6月23日 8時) (レス) id: e672c225a3 (このIDを非表示/違反報告)
なー - 最近読み始めました!Twitterは鍵垢(閲覧用)のアカウントでも、フォローしてもいいでしょうか? (2020年6月22日 19時) (レス) id: 6d51b7543f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もちもち | 作成日時:2020年5月22日 23時