始まりを君に 4th - Daiki.A

179 - 秋の空 ページ33

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母「A……どうしたの？」

「え……？」



テーブルの一点を見つめて彼の気持ちを考えていたら、ぽたぽたと頬を伝った水分が手に零れ落ちた。



「あ……」



心配そうに見つめてくるお母さんと目が合って慌てて手の甲で涙を拭った。



「だ……大丈夫っ！」



スマホの画面が濡れちゃってて、着ていたTシャツの裾で拭うと画面が点いた。皆で旅行に行った時に撮った写真をロック画面に設定してる。


サービスエリアで大貴くんが買ってきてくれたチュロスの写真。その背景には楽しそうに笑ってる彼が偶然映ってて……


またこんな風に会いたい、って思うとまた泣きそうになる。



母「“男心と秋の空”って言うから、あんまり気にし過ぎないほうがいいよ」

「なにそれ……格言？ 初めて聞いた」

母「秋の空はころころ天気が変わりやすくて、男の心と同じ、ってゆう意味」



そんな話をしていたら、雷雲のゴロゴロと唸る音が聞こえてきた。帰ってきた時には晴れてたのに。


秋の空…
大貴くんの心と同じ……？












〜♪

スマホが音を鳴らして、またチュロスの画像が表示された。













LINEの通知画面。
そこに表示された名前に心臓が止まりそうになった。










大貴待たせてごめん…





大貴今週土曜の夜に会える?










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